42 / 59
6-8
謂わば、トラウマ治すなら、早くやれ。という意味だろう。
流石に…。
娘に向かって、命令は出来ない。
いくら、聖霊界と、繋がっているからと言って、許される訳が無い行いだ。
況して、レイナは、聖霊界に関わってはいけない契約を結んでいる。その、中で、リンアに、何を学ばそうとしているんだ。
魔術は愚か、剣術にも、問題は無い筈。
強いて言うならば、龍族という言葉を、聞く、地獄耳だ。
運命なのは解るが…。
普段の、おしとやかさは、何処に、消えたのか。
『聖霊界の掟って、凄く…面倒臭い部分が含まれていますが、今後、リンア様は、転生する可能性はあるのですか…?』
『それは、一人で創造したら解るんじゃないですか。伊達に『リオトル』の皇女じゃありませんよ』
確かに、一国の王であり、創造神。
神話でも有名な、天照大御神の弟にあたる“月詠尊”は、夜を支配する王。
伊弉諾が、禊をしていた時に、右目を洗ったら、二番目に生まれた神である。
詳説は、色々あり、腹黒い。
正に、妻を、見ていたら解る。
年齢の割には、若く見えてしまうのが、罪だ。
リンアは、逆に、アイツに似てしまった。
ー…“月詠尊”の家系。
何時か、お目に掛かれるだろうか。
彼女が、月詠尊として君臨した姿を。
気まぐれなレイナが、玉座に座っている光景を。
そして、娘が、嬉しそうに、微笑んでる姿。
私の、人生の楽しみである。
『アライラ様、耽るのは、止して下さい…』
そんな心配した顔で、言われても、困るのだが。
リリアンの、心配性は、どうにもならない。
娘に支えた頃から、色々と、世話をしてきた彼からすれば、四苦八苦してきただろう。
趣味は、愚か、結婚に、至るまで、身の回りの事は、見てきた筈。
その中で、リンアの行動を、試行錯誤をする姿を映してきたに違いない。
何れも、記憶の中に残る鮮明な過去が、流れる。
ともだちにシェアしよう!