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嘗て、ある創造神が、一つの國を創り上げた。 それが、天界そのものである。 花々は咲き乱れ、精霊達の歌声が響く。 川の水は、清らかで、せせらぎは、風情ある光景を、思い描かす。 これが、聖界の主であった娘が創りあげた世界。 『天界』の始まりである。 この國を納めているのが、各有名な天照大御神と、夜の支配者たる月詠尊。 古事記で、有名な姉弟である。 末の弟、須佐之王尊は、当時、愚行を繰り返し、姉によって、天界追放となったのだが、理由は、天照大御神の御前で、脱糞をした事だか 流石の、家臣達も呆。 れたそうな そして…。 『忘れてはいけないのが、あの龍神。天然だだ漏れ』 こう、悪態付いているのは、欠片を空に、浮かばせている女性である。 表情は、無表情であるが、実に嫌そうな感じだ。 『この、一万年ぐらい思ってきたけど、聖界で…ひっそりと、暮らしているなら、先に、言うべきかと思うのです。どの道、彼は、教えたとしても…阻止されるのが目に見えているのだから、きっちり、天界でも、役目を果たしてもらわないと困りますわ』 特に、彼女の、お目付け役を。 父親に似て、やや、危なっかしい部分があるから…。 『記憶の欠片。色んな世界へ飛び立ち、それぞれ違う人生を歩む。それは、姿、生活は愚か、生まれる場所も違いがあり、宿命すら異なってくる』 儚げな顔で、女性は、吐いた。 寂しげな雰囲気が漂う中、覚悟を決めた様に、両手を広げて、バラバラになった記憶の欠片を、別の世界へと、飛ばした。 これから起きる色んな試練に耐えなければいけない。 泣き言も、弱音も吐いていられない時期が、訪れてくる。 そう、なった場合は、どう、動くのか、楽しみで、彼女は、内心、微笑んだ。 だが…。 表情は、心配そうな感じだった。

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