45 / 59
7-1
嘗て、ある創造神が、一つの國を創り上げた。
それが、天界そのものである。
花々は咲き乱れ、精霊達の歌声が響く。
川の水は、清らかで、せせらぎは、風情ある光景を、思い描かす。
これが、聖界の主であった娘が創りあげた世界。
『天界』の始まりである。
この國を納めているのが、各有名な天照大御神と、夜の支配者たる月詠尊。
古事記で、有名な姉弟である。
末の弟、須佐之王尊は、当時、愚行を繰り返し、姉によって、天界追放となったのだが、理由は、天照大御神の御前で、脱糞をした事だか
流石の、家臣達も呆。
れたそうな
そして…。
『忘れてはいけないのが、あの龍神。天然だだ漏れ』
こう、悪態付いているのは、欠片を空に、浮かばせている女性である。
表情は、無表情であるが、実に嫌そうな感じだ。
『この、一万年ぐらい思ってきたけど、聖界で…ひっそりと、暮らしているなら、先に、言うべきかと思うのです。どの道、彼は、教えたとしても…阻止されるのが目に見えているのだから、きっちり、天界でも、役目を果たしてもらわないと困りますわ』
特に、彼女の、お目付け役を。
父親に似て、やや、危なっかしい部分があるから…。
『記憶の欠片。色んな世界へ飛び立ち、それぞれ違う人生を歩む。それは、姿、生活は愚か、生まれる場所も違いがあり、宿命すら異なってくる』
儚げな顔で、女性は、吐いた。
寂しげな雰囲気が漂う中、覚悟を決めた様に、両手を広げて、バラバラになった記憶の欠片を、別の世界へと、飛ばした。
これから起きる色んな試練に耐えなければいけない。
泣き言も、弱音も吐いていられない時期が、訪れてくる。
そう、なった場合は、どう、動くのか、楽しみで、彼女は、内心、微笑んだ。
だが…。
表情は、心配そうな感じだった。
ともだちにシェアしよう!