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それはそれは、懐かしい思い出でした。 燃ゆる太陽の黒点が、はっきりと、見えた時、一つの事を思い出した。 『龍族最後の生き残りが、魔術の研究をしているなら、それは、運命が廻り始め、月が重なる時、ある術が発動する。リンアは、橋渡しとして、ディーラーア王の来世を見た時…儚き想い出を開く、禁断の箱(パンドラ)を、時空の波に飲ませるわ』 何とも、稚い考えなんて言われるかも知れないけど、今は、これで良い。 まだ、子供な龍族の皇女には、丁度良い調味料。 だから、混ぜたくなる。 誰にも…。 気付かれずに、ひっそり沈む月の様に。 禁断の箱も、暗夜の湖の中へと、沈んでいく。 だから、それまでは、天地開闢を、起こさない様に、願います。 『雷神』の名を襲名する『火龍帝 炎覇』。 この、世界に咲く、リンアが、残した最後の希望。 どうぞ…。 心を、闇に染める事なかれ。 ー…午前、十二時の鐘が鳴る。 鏡と鏡が、合わさった時、新たなる世界の扉が開かれる。 眠りの時間から覚めるには、まだ、早いかも知れない。 ノンが、到着するまで、一億年ぐらい掛かったら、最高なんだろうけど、彼、代償を持ってくるの早いから無理かしら。 白銀に広がる世界は、お伽噺の中に、眠る。 美しき、皇女様が、唄うは、神の祝福を願う曲。 『“鳴呼、我ど、咲く華は、騎士達の喜び。 新たなる芽に、幸福あれ…。』 夜の世界が、目を覚ます。 月の王である“月詠尊”が現る。 今宵も、酒を楽しもうぞ。 幾年と舞う、女神の幸福に、溺れ。 想い人すらも、悲しませる事を知らず。 私達は、手を取り合う事があるとすれば、年を重ねた時でしょうね。 そうね…。 来世で、逢う事があれば、白き薔薇に包まれた御子を授けましょう。 きっと、意味ある事だと、私は、思っている。

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