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 春の暖かな風が質素なクリーム色のカーテンをはたはたと揺らす。その間から眩しい日差しと青い空が覗いてから、千雪は一度薄っすら開きかけた瞼を眩し気に眇め再び瞑る。 (眠い……)  寝返りを打ってから頭から布団を被ろうとまさぐるが、何か重たいものが載っているように邪魔をして掛け布団が動かない。仕方なく仰向けになって寝直そうとすると、半分覚醒して瞼が日を透かして赤く染まっていたのに暗く影が射し日差しが暗く遮られた。  ふに。ふに。さわ。ふに。 (眠いんだよ……)  ふに。  今度のふに、の場所は同じ顔の中にあるけれど頬ではない。千雪にとってそんなに気安くふにふにされたら困る、由々しい場所。つまり唇だ。  しかし寝ぼけた頭は旨く働かず、腕を持ち上げようにも億劫だ。  されるがまま再び優しい指先ですりすり、ふにふにされるのをどこか心地よくもあり、思わず唇を綻ばせたら、何か生暖かく柔らかなもので、駄目押しの、ふにふに、ふにっとされて驚いた。続いて唇をぷちゅり、となぞる、熱く柔らかな生々しい感触に半覚醒の意識が一気に覚醒へと傾いた。 (えっ……)  

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