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 苦しいだけでない色っぽい喘鳴を喉元でたて、それでも貪欲に血潮を啜る千雪はふるふる首を振りながらも吸血をやめることができない。涙が目の端から伝い落ち、切なげな顔をして一度顔を肩口から離すと、潤んだ上目遣いに虎鉄の顔を見上げてきた。 「……」 「千雪?」 「ご、ごめんね」  幼子のように舌っ足らずに呟いて、虎徹の真っ赤な血で染る唇をふるわせて涙声で詫びてしまう。そのくせ腰は淫らに動かしながら細い腕を虎鉄の首に絡ませて夢中でぺろぺろと舐めとる。千雪の唾液には父ほどの即効性はないが、治癒を促す効果があるから、すぐにでも虎鉄の傷を癒し血を止めようと健気に舐めてしまう。しかしその柔らかな舌先の刺激に虎鉄自身はさらに腹につくほど高まりが収まらない。 「まだ欲しいんだろ? もっと飲めよ」 「だめ、虎鉄が、い、痛いから……」 「痛くない。千雪が舐めるとじんじんして、熱くてすごく気持ちいいよ? だから千雪も、俺にくれ」  虎鉄は息を弾ませた激しい口調とは裏腹に、懇願ともいうべき優しい口づけを千雪の柔らかな唇に落として囁いた。 「俺も千雪を、食べたい」 「……いいよっ。虎鉄も、早く、俺を、食べて」    その答えを聞き、虎鉄は喉元をぐっと鳴らすと待っていましたとばかりに、虎鉄は千雪を白いシーツの上に押し倒す。長い腕で枕元にある祖父の文机の引き出しを漁ると、中から取り出したコンドームを荒々しく犬歯で千切ぎり開封した。千雪を見おろしてくる虎鉄の、雄っぽい表情には爽やかな野球少年の面影は微塵も感じられない。日頃真っ白な顔を桃色に上気させ、千雪は赤い唇を震わせて物欲しげに虎鉄を仰ぎ見た。  目が合うと虎鉄が飢えていてもどこか満足げな視線で見つめ返してくるから、かつて一度虎鉄をうけいれたことのある蜜壺がひくりとなるのを感じ、千雪は「あんっ」と小さく喘ぐ。 「たまんねぇ声……。千雪。食いたい」  

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