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 するといつもは大抵キリッとしていている虎鉄の表情がみるみるうちに大きく歪み、それを隠すように大きな掌で覆われた。 「虎鉄。ねぇ、返事は?」 頭に手を回したまま小首を傾げると、虎鉄はさらに顔中を真っ赤にした。 「くっそ、また先越された……。お前、こんな状態で、俺を煽って……。どうなってもいいんだな?」 「えっ……」 フーフーと獣が息を着くような呻きを漏らしながら、外された手の下から除く瞳は、ぎらぎらと見たこともないような余裕のない光を湛えて千雪を見下ろしてきた。 「なになに! 怖い!」 引けた腰をおもむろに抱えあげられ、そのまま浴室に戻り、湯船に浸からせられると、お湯が全てふきとぶのではないかという勢いで 虎鉄が続いて入ってきた。 「うわっ。うぷっ!」 揺れるほど波だった湯船に足を取られてよろめくと、飛沫をもろに浴び顔を拭っていたせいで逃げきれない。そのまま虎鉄に飛びかかられ腕の中に捕まると、今度は頭を抱えられ貪るような口付けを虎徹の方から返された。 虎徹が仕掛ける普段のキスは強引であってもどこかふわふわと甘く優しかったのだと分かった。勢いに任せて歯列を割って押し入る舌は熱く深く、同時に大きな掌で尻たぶを揉みしだかれてあまりにも即物的な動きに千雪は目を丸くした。  

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