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脚を大きく開かされ跨るような格好に差せられて、腕を首に回すよう誘導されると千雪は自分が腰を落とした方がいいのか、それとも待った方が良いのか分からず、まろい臀を何度か虎鉄自身に押し付けては腰をひいてしまった。
「焦らすなよ」
「焦らしてないってば」
がしっと腰を持たれ、先を含まされたら、そのままゆっくりというのはどこへやら、どんどん腰を落とされてずぶずぶと加えこまされる。
「やああ、深い……」
「あ、気持ちい……。やばい、出そう」
共に身悶えながら、視線を合わせ、互いに唇を擦り合わせ激しく舌を舐め合う。気持ちが通じ合ったせいか、余計に感じてしまう。顔を離した虎鉄が千雪を見つめる眼差しが、いつも以上に甘く感じて、千雪も大胆に唇を寄せて舌先で虎鉄の引き締まった唇を乱すように舐め上げた。
「千雪……。動くぞ」
「うん」
しかしそんな二人を脅かすように、脱衣所へと繋がる扉がどんどんっと乱暴に叩かれた。
「誰か来たあ!」
千雪がお湯をばちゃつかせつつ、身を竦ませた瞬間に虎鉄をかなりきつく搾り上げたらしくて、虎鉄に耳元で艶めいたうめき声を漏らされた。それにまたぞくぞくっと感じてしまって千雪は虎鉄の熱い胸板に手を突っぱねて身を起こそうと暴れるのを、虎鉄が抱えて二人してもだついてしまった。
「おい! 虎鉄いるんだろ?」
(一臣兄ちゃん!!)
踏み込まれたら、流石にまずいと喚きそうになる千雪の口元を掌で覆い、虎鉄が眉根を顰めた色気ある表情でしーっとやる。
「まだ入ってる」
「こっち、外の鍵締めてなかったぞ? 不用心だな。8時半ぐらいにもう一回見回りきてやるからそれまでに出ておくんだぞ?」
「ありがとう」
「コーヒー牛乳置いといてやるから、千雪と仲良く飲むんだぞ」
相変わらず小学生の頃と同じような扱いをしてくる一臣に、急に名前を出されて千雪がまた慌てて串刺しにしてくる虎鉄自身から逃れようと足をばたつかせた。するとそれを許さず、虎鉄がサディスティックな仕草で両腰を掴んで押しとどめる。
「ひゃああん」
それがまたよいところを抉ってしまい、暴れた拍子に甘い嬌声を漏らしてしまった。
「おい、千雪」
流石に焦った虎鉄とのぼせたのか恥ずかしいからか分からないぐらいに茹で凧並に真っ赤になった千雪が顔を見合わせると、脱衣所から一臣の呆れたぼやき声が聞こえてきた。
「あー。ええとな。お前ら、あんまりやりすぎんなよ。あと、掃除も頼む」
ガタン、がちゃん。一臣が立ち去ったのを扉の音で確認してから、千雪は上目遣いに虎鉄を睨みつけながら、
肩をフルフルと震わせばしばし、虎鉄の胸を手で遠慮なく叩いた
「もう!! 虎鉄のバカ!!」
(兄ちゃんに知られた! 恥ずかしい、恥ずかしくて死ねる!!)
「痛っ! おい!」
兄が立ち去ったら叩かれた仕返しとばかり、湯船を揺らさんばかりの勢いでいきなり腰を下から打ち付けてきた虎鉄に、千雪はまた甘い声をたてながらしがみつくしかできなくなった。
「 っんん!! あんっ! もう、やめて! だめだめだめ」
「やめてじゃないだろ? もっとして、だろ?」
「なっ! 急に、図々しい!!」
(結構元からぐいぐい来てたけど……)と思いつつも、日に焼けた顔ににんまりと得意げな笑みを浮かべたままの、だらしない虎鉄の顔に絆されてしまう。
「いいだろ? お前が本当に、俺のものだって自覚してくれたんだから……。千雪の素直で可愛い姿。堪能させてくれよ? な?」
「……ううっ……。いいよ。でも掃除は虎鉄に任せたからね?」
「任せとけ」
ちゅっとまた自分から口づけて、千雪はまん丸大きな瞳を猫のように細めて蕩けた顔をして白いもっちりした腕を伸ばし虎鉄の首に絡みつけると、先が尖ったカッコいい耳元をちろり、と舐めながら甘く囁いた。
「このまま、俺のこと……。虎鉄の好きにしていいけどさ。そしたらもう、後は全部、俺のこと面倒見てね?」
「ああ。そんなのとっくの昔から、覚悟してるさ。俺はとっくに、お前の夫のつもりだからな?」
恋人になるつもりが夫を得てしまったらしい。プロポーズの言葉が大吉爺ちゃんと同じ「ともに白髪が生えるまで」だったのはちょっと腑に落ちないながらも、千雪は心身ともにほかほか幸せだった。
しかしその番虎鉄が元運動部のポテンシャルを如何なく発揮して本当に千雪を好きに味わってしまったため、その日は貧血からののぼせというコンボを決めた千雪は何度目かの気絶でそのまま朝まで幸せな眠りについてしまったのだった。
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