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③フレイムとブラックナイトの出番が減り
フレイムとブラックナイトの出番が減り、代わりにブルーとアッシュの戦いが増えた。アッシュの出動を見守るという名目で現場に顔を出すと、ブルーが現れる。それを星野光が飛び出さないように押さえながら見守る。
とはいえ週末は焔とのんびりすることが多くなったので、そんな風に戦いを鑑賞するのも毎週ではない。
星野の見立て通り、たしかにブルーは少しバカっぽい。対するアッシュはどちらかといえばクールキャラだ。
……ブリザードのことになると熱くなるところはあるけれど。
さて、ブラックナイトの出番が減ったと言ってもたまに出動することがある。ただそういう時はたいていフレイムが現れる。フレイムの活躍を見たい甲斐としては嬉しいのだが……せっかくなら自分が戦うのではなく観察をしたい。
それなのにアッシュが暴れても戦闘員が暴れても現れるのはブルーばかりで……。
そこで、甲斐は思いついた。
ブルーをボコボコにしたらフレイムの出番が増えるのではないか、と。
※※※
「ブルーパンチ!」
「ブルーキック!」
「ブルーアタック!」
ブルーは適当すぎる必殺技名でエタニティの戦闘員たちを次々と倒していく。
今回は無理を言ってアッシュの代わりに現場へやって来たブラックナイトは、しばらくブルーが戦闘員を蹴散らすのを眺めていた。パワーはあるのだがアッシュに勝つにはあと少し……経験を積めば強くなるだろう。
そうなるとますます邪魔な存在になる。
「お前がブルーか」
「お、お前は……」
ブルーがある程度戦闘員たちを倒してしまうと、そろそろ頃合だろうと変身してブルーの前に姿を現す。
どうやら向こうもブラックナイトの存在は知っていたらしい。
「アッシュから報告は受けている。お前がエタニティの邪魔だ、と」
「なにっ」
もちろんそんな報告は受けていない。
そもそもアッシュとはあまり話さないし、話す時はだいたいアッシュがどれだけブリザードを尊敬しているかという話を一方的に聞かされるばかりだ。
そんなものだから、アッシュとはあまり関わりたくないのが本音だ。
だがわざわざブラックナイトが動くにはそうした方が自然だろう。
ブルーは何故か嬉しそうに拳を握りしめている。おそらく、自分の戦いが認められたと思ったのだろう。
努力は認めよう。ブルーのおかげでフレイムの負担はずいぶん減っただろうから。たった一人で孤独に戦い続けていたフレイムに、仲間と呼べる存在ができた。それは喜ばしいことなのかもしれない。
だが、フレイムの出番が減るのはいただけない。
……ブラックナイトこそが、フレイムの一番近くにいる存在なのに。
だが、ブラックナイトの計画はそこで壊された。
「そこまでだ、ブラックナイト」
――どこかから現れたフレイムが、ブラックナイトからブルーを庇うように立ち塞がったのだった。
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