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④「――お前の相手は俺だろ?」
「――お前の相手は俺だろ?」
やはり、間近で見るフレイムはカッコイイ。仲間のピンチに駆けつける、ヒーローだった。
思わず自分の立場も忘れて叫び出しそうになるが、今は仕事中だ。仮面から露出している口元がニヤケないように気合いを入れ直す。
ブルーが出動していたからフレイムは現れないと思っていたが、来てしまったものは仕方がない。フレイムのいない隙にブルーをボコボコにしようとしていたことがバレないように……とりあえず、フレイムの誘いに乗ろう。
「――闇よ、行け」
ブラックナイトの放つ黒い光がフレイムへ向かってくる。フレイムはただ黙って右手を黒い光へかざす。
フレイムの手から赤い光が放たれ、光は黒い光を飲み込み、すぐに溶けるように消えた。
「その新人に任せきりで鈍ったんじゃないか」
「そう思うなら試してみるか」
ブラックナイトが舞うように攻撃し、フレイムがそれをよける。フレイムの放つ炎をブラックナイトがひらりとかわす。ブラックナイトが向けた剣をフレイムが己の剣で受け止める。
何だか二人でダンスでもしているようで、それが楽しいと思ってしまう。
ずっとこんな時が続けばいいのに。
二人の剣が何度も交差し、耳の痛くなるような音が続き、やがてブラックナイトが剣を取り落とした。
「……俺の勝ちだな」
フレイムの剣先がブラックナイトへ向けられる。
それが、終わりの合図だ。残念ながら永遠に戦い続けることは出来ない。「そのようだな」とブラックナイトはマントをひるがえし、消えた。
後にはフレイムとブルーだけを残して。
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