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⑤「説明してもらえるかな、甲斐」※
――と、まあ、おそらく放送されるのはここまでで。
「説明してもらえるかな、甲斐」
「え、ええと……何を?」
案の定家に戻るとしばらくしてから焔がやってきた。いっそ居留守を使いたかったが焔相手にはどういうわけかそれが通用しない。
「何故、浮気をしていたのか」
「うっ、浮気?」
「だってそうでしょ。俺以外と戦いたいなんてどう考えても浮気だよ」
えっそうなの?
もしかして、フレイムがブラックナイトの出動する時には現れていたのはそのせいなのか?
「だから、お仕置き」
にっこりと微笑むイケメンには迫力がある。ヒーローと向かい合っているはずなのに、甲斐の脳裏には『大魔王からは逃げられない』という言葉が浮かんだ。
※※※
「……あっ、や!またイク……っ!」
「いいよ、イッて」
「ぁああああっ!」
焔の声に導かれるように、甲斐のペニスから精液が溢れ出る。
もう何度目の射精になるかわからない。すっかり勢いを失っていたし、精液も薄くさらりとしたものしか出ていない。
お仕置と言われ、両腕に手枷をはめられ、ベッドへ繋がれた。ここまではまあよくあることだった。手枷も内側にファーがついてモコモコしており、甲斐が怪我をしないように配慮されている。そんな配慮をするくらいならお仕置そのものをやめて欲しいところだが。
たいていは拘束された上にペニスにリングをはめられたり、怪しげな道具を挿入されたりと酷い目に遭うことが多いのだが、今回はそれだけだった。これならお仕置と言ってもそんなに辛くないのでは……なんて期待した甲斐が浅はかだった。
「も、……むりぃ」
足を大きく広げた間に焔の顔がある。ペニスから出した物を凝視され、「うーん、たしかに薄くなってきたかな。でもまだ出るよね」と呟かれる。
アナルには焔の指が挿入されたまま。そしてその挿入された指のせいで何度も何度も射精させられる羽目になっていた。
「ほむら、やだ……おねがい」
何がお願いなのか自分でもわからなくなっていたけれど、飛びかけた意識の中で焔に助けを求める。視界は涙でぼやけていて、焔がどんな表情をしているのかよく見えない。
自分を虐める張本人に助けを求めるというのもおかしな話だ。だが他に助けてくれる人はいないし、何より甲斐自身焔以外の人間に助けを求めようなんてことは考えない。さすがに、この状況では特に。
「あっ、やっ……だめっ」
今日はまだぺニスには触れられていない。アナルへの刺激だけでもう何度もイッたけれど、まだ、焔のものを入れてもらえていない。
中はすっかりトロトロになって、もう慣らす必要なんてないのに。焔の指は意地悪く前立腺を擦って、甲斐に快楽を教え続ける。
気持ちいいけど、もうイキたくない。
イクなら、焔の――
「ダメって言いながら甲斐のここは俺の指を放さないけど?」
「う、うう……っ」
アナルがいやらしく焔の指を締め付けるのを揶揄された。だって、こんなのもどかしい。もっと奥を、もっと熱いもので暴かれたい。
体の奥から焔のものだと刻みつけられないと、満足出来ない。
「ほむら、もう……」
「もう?」
焔の顔はよく見えないけど、ニヤニヤと笑っているのがわかる。これがお仕置か。ようやく理解するが、まあ、焔の言う「浮気」をしたのだから仕方がないのだろうか。
「……焔の、ぺニスで……俺がお前のものってわからせて」
拘束された両腕では赤くなった顔を隠すこともできない。仕方なく睨むように焔を見た。
中から指が抜かれ、よくできましたとでも言うように唇にキスが落とされる。反射的に目を閉じると、次に訪れたのは熱だ。
「んんんんっ!」
キスは優しいのに、その一方で体内を強引に熱が貫く。もうずいぶんと長い間指だけで慣らされていたから痛みは無いが、ぬるま湯に浸かり続けたような快楽から急に揺さぶり起こされたようで、こんなの心臓がもたない。
制止の声を焔の唇が優しく飲み込んでしまい、悲鳴は音になることを許されなかった。
「んんっ、んっ…ふっ」
甘く媚びるような吐息が漏れる。もしキスされていなかったらもっと恥ずかしい声が出ていたんじゃないか。焔とするようになってからずいぶん経つけど、こういう恥ずかしさにはいつまでも慣れない。
「……んっ、……あ」
不意に、唇を塞ぐものが離れていく。それを寂しく思い、見上げた先には焔の熱いほどの視線があった。
「甲斐」
名前を呼ばれると背筋がゾクゾクして、体内の熱が上がっていく。答えるように中のぺニスを締め付けて、それから――
「焔」
「甲斐、甲斐……」
誘うように呼ぶと、余裕の残っていた焔の表情が変わり、熱に浮かされたように甲斐の名前を呼ぶ。十分すぎるほど慣らされたアナルからはローションや体液のせいで耳を塞ぎたくなる音が響いていた。
腹の奥を焼かれ、すぐにイキそうなのに「まだだよ」優しく止められる。さっきまで散々射精させたくせに。
「甲斐、一緒にイキたい……」
そんな風に言われると可愛いなんて思ってしまって。こんな、甘えたヒーローを知っているのはきっと甲斐だけなのだと思うとどこか満たされた気持ちになる。
「いいよ、出して――」
それで、甲斐が焔のものだとしるしをつけて。
それは、焔は甲斐のものだという証でもあって。
……結局、ただそれだけのことを確認するのにずいぶん遠回りしてしまったような気がした。
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