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広がる世界は、白く。
其処に、並ぶ椅子は…。
ー…確かに。
代々と、受け継いできた魔王が、座る。
特に、彼が座る椅子は、もう、何十年と、座っていない。
彼に…。
栄光と、名声を。
『もう…。其処は、嘗ての変わり者が座っていた椅子だろう。レイナお嬢、誰を、座らせようとしている』
『この世で、一番、相応しい『フリア』の血を引いている皇子様。きっと、貴方も気に入るわ。アティーソイヤ…』
だって、あの子。
魔王としての素質があるんだもの。
宝の持ち腐れじゃない。
折角『フリア』から、選ばれたのなら。
私は、選んであげるべきだと、思いますわ。
始まりは…。
ピアノの旋律から。
魔界五大王族に、栄光あれ。
『そいゆうなら…待っててあげる。彼が、本当に、魔王として相応しいか、図ってあげるんだから。それまで、僕は…寝るとするよ』
そいゆう貴方は、嬉しそうに微笑む。
次期、魔王が、楽しみなのだろう。
久しぶりじゃない。
貴方が、期待して、胸を、ワクワクさせているなんて。
ー…アティーソイヤ。
嘗ての想い出が、色づくと良いわね。
魔王が、見る世界を、体験出来るなんて、滅多に、味わえないわ。
『君が、選ぶ相手は、少し、変わった人が多いよね』
随分、昔に、言われた言葉を、思い出したわ。
まだ…。
女神として、浅い頃だったかしら。
否、絶対神として、彼方此方と、駆り出されている時かも知れない。
それも、良き、想い出として、残っていくのよ。
だって…。
あの頃は、楽しかった。
双子の弟と、必死に、國を創る事に、向き合っていたから。
彼は、人類を…。
ー…私は、國の秩序を。
夢は、広がるばかりだった。
何時しか、弟は、二人の人間を、造った。
ー…アダムと、イブ。
二人には、性別があった。
私達みたく、性が解らない状態じゃなく、ちゃんと、分類されていたの。
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