9 / 13
1ー7
『何時か、生まれ変わったら、貴女は、何を視るのかしら?』
それ、私に問いてどうするの?
貴女は、私じゃない。
この國を創り上げた絶対神の生まれ変わり。光王族の皇女様。
そして、軈て、天界から名を消す事になる私自身。
『さぁ、何を視るのかしら。きっと、この世では、想像出来ない惨劇とでも言っておくわ』
『不思議。私である筈なのに、貴女は、自らの宿命を受け止めている。でも、私も…何年か後に、思い知らせるのね』
ふんわりと、微笑む彼女。
解っているんじゃない。
己の辿る末路を…。
『例え…』
『それが』
『作られた…』
『シナリオだとしても』
開かれた物は、閉じられない。
それが、天界に存在する本。
-…天の理。
『で、こんな、遥か昔にまで、繋がってきた意味は?』
『秘密』
解っているわ。
貴女が、繋がってくるのは、意味があるからよね。
そろそろ、始まるのかしら。
『第一天書…。汝らの行いは、必ずしも、困難ではない。恐れないで…』
鐘の音が、何処からともなく、響き渡る。
流れてくる記憶の狭間に置いてきた過去の行いが。
『蒼い炎が、灯される時、動き始めるセレナーデ。君も…何時か、感じるだろうか。愚かな神が起こした唯一無二の実験という殺戮を』
夜の世界に、照らされるのは、月の光。
これは、ドビッシュの名曲。
月光に浴びる、湖が、浮かぶ。
何とも、幻想的な世界。
煌らびやかな世界に、広がっていく水。
その上に、佇む、一台のピアノ。
軽く、指が、触れれば。
綺麗な音色が鳴る。
水面を走る波紋。
鳴呼、そうか。
『“レイナ”…』
尚も、闇の中でも、光っている一輪華だ。
湖に…。
当たる銀色の光。
美しいと、心から思うわ。
其処から…。
命を感じるのは、レイナ、貴女が、照らしているからね。
尊い命に、携わる者として、理解してしまう。
その、運命すら、受け入れていく。
ともだちにシェアしよう!

