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1ー8
だから、神は、問いました。
この、湖に、美しき、女神が、降臨したら。
鳴らされるは、儚い曲なのだと。
何れ、訪れる運命に向かい。
貴方は、向き合わなければいけないのよ。
私が、そうであったように。
『大事な親友を、置いてきた、女神は、願いました。魔界で…暮らすにあたり天界での名は、必要ないと。だから…』
愚かな羔が、迷った時は、そっと、照らしてあげないさい。
それは、彼等の道標になるから。
決して…。
聖霊界には、関わってはいけないよと、父親の言葉が、脳裏に浮かぶ。
罪を犯した時…。
歯車が、狂う。
それは…。
ジリジリと、ゆっくり、ゆっくり、じわじわに染み込むのだった。
このご時世、誰も、想像出来ない事が、大昔に起こりました。
時計の針が、チクタクと、音を立てる。
其処から聞こえるのは、何とも、不思議なピアノの音色でした。
雨の音に乗せながら、広がる世界に、雫が。ポチャリと、落ちるのであった。
これは?
鳴呼、曾て、絶対神と言われていた“サファリア”が、流した涙だったか。
-…神が、流した涙は、貴重らしい。
どの宝石も、勝るぐらい綺麗な色合いをしている。
私も…。
知っているわ。
大天使が、流した涙を。
持っていたから。
凄く、美しく、綺麗な青色をした涙石(るいせき)でした。
一雫の涙が生んだ奇跡。
サファリアが、流した涙は…。
やっぱり、秘密。
だって、それは…。
私の涙でもあるから。
決して、公開出来るモノではない。
触れてもいけないなんて、勝手な事ばかり言っていた時代があった。
だけど、触れた者が居たわ。
その人は、今でも、時折、触れる。
傷みという過去で…。
苦しむ私に。
優しく、触れて、包むのでした。
何時か…。
私も、見てみたいわ。
彼が…。
泣く、瞬間を。
無理な話だろうけど、叶えたい願い。
畔の美しき、輝きで…。
思うのでした。
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