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第3話

 この世界では時折、男の性も女の性も持ち合わせる半陰陽と呼ばれる者が非常に稀ではあるが産まれることがある。だがその存在は認知されており、特別迫害や差別などを受けることはない。そんな半陰陽の者は、例えその身が男のものであったとしても子宝に恵まれやすく、同時に男児の出生率が異常に高かった。そのため、この平安の都・京では古より〝半陰陽の者はすべからく帝の女御となるべし〟との取り決めがある。それは尊き帝の血筋を繁栄させ、決して途切れさせないためのものだ。  そして、藤原 幸永はその半陰陽だった。だが側室であった幸永の母は我が子可愛さにその事実をひた隠しにし、藤原家の次男として幸永を育てたのだ。元々藤原という性こそ名乗っているが幸永の家は分家も分家で、位も低く貧乏な名ばかりの貴族を気に掛ける者などおらず、幸永の秘密は知られることなく元服さえも終えた。だが、逃げ切ることは、許されなかった。  幸永が唯一心を許し、友とさえ思っていた清史にその事実が露見し、彼は幸永を己の腕の中に閉じ込めた。  父である今上帝に願い、父ではなく己に嫁がせてほしい、と。そうして幸永は何も知らぬままにこの内裏へと閉じ込められた。そしてようやく知ったのだ。友と慕っていた清史が今上帝の愛する嫡子、東宮・清史親王であるということを。 あけましておめでとうございます! 昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。 本年もどうぞ、よろしくお願いいたします! 十時(如月皐)

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