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第7話

「おや、若宮は良いものを食べているね」  穏やかに微笑みを浮かべ我が子を見つめながら衣擦れの音をさせ近づいてくる、幸永と同じ侍従の香りを纏う人。優しくも美しい顔立ちをしている己の夫に笑みを浮かべたが、すぐに幸永は内心首を傾げた。 (なんか……機嫌悪、い?)  表情こそいつもと同じようであるが、どことなく纏う空気が棘ついているように見える。先程まで父である今上帝や大臣たちと政を行っていたはずだが、その時に何かあったのだろうか?  ニコニコと優しく微笑みながら甲斐甲斐しく愛息子の世話をしている清史に視線を向け、チラと若宮の持つ椀を見た。元々幼子である若宮には相応の削り氷しか与えておらず、好物であったことと暑さですでに完食しているようだ。その様子に、床に置いていた蝙蝠を手に取って一度パチンと音を鳴らした。 「若宮、いっぱい遊んだのだから少しお昼寝をしよう」  優しく促せば、若宮はいやいやと大きく首を横に振った。 「んーんッ。まだネンネしなぃ」  口ではそう言うものの、やはり遊び疲れたのだろう、大きな瞳はトロンと蕩け、口調もどこか覚束ない。落とす前にと椀を取り床に置いて、よいしょっ、と若宮を膝に抱き上げた。

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