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4章(7)
柊一との共同生活は思いのほか、うまくいっていたが、ただ一つ困ったのは、発情期だった。
二人暮らしを始めて一ヶ月ほど経った頃。尚紀に二回目の発情期がやってきた。
その朝、尚紀は体調の変化を感じていた。風邪を引いたかな、と思う感じで身体がだるかったのだ。
「おはよう。……体調悪そうだね。風邪かな? ん? いや、違うね。香るから発情期かな。ちょっと待ってて。夏木に連絡するから」
二回目だから、まだ周期が不安定なんだね、と柊一は慰めながら、夏木に連絡した。
夏木に連絡されるというのは、尚紀の理性的な部分にとってかなり憂鬱で、柊一に独りで乗り越えられると言い張りたかった。しかし、そんな本音とは裏腹に、次第に意識も朦朧としてきていて、理性より本能が顔を出し、身体が火照ってくる。
それでも自室で布団の中に包まりながら、ここで自分を慰めていれば次第によくなるから、夏木が来ても拒絶しようなどと考えたが、しばらくしてやって来た番が放つ芳しい香りに、尚紀の意志はともかく、身体は簡単に陥落した。
夏木に布団を剥がされると、ダイレクトに芳しい香りに晒される。
「独りでなんとかできるとか、寂しいことを言うなよ」
そう言われて、夏木のフェロモンに意識が支配される。
「うちでしてく?」
柊一が夏木にそう問いかけたが、夏木は首を横に振った。
「いや。別宅に連れてく」
「そう」
「お前も近いだろ。遠慮するなよ」
そんなやり取りを二人がして、尚紀はそのまま着のみ着のままで毛布に包まれ、先日の「別宅」に連れてこられ、そのままたっぷりと抱かれた。
別宅に入るやいなや、玄関で後ろから貫かれた。それを受け入れる側の尚紀の身体も潤んでいて、夏木の猛りを十分に飲み込む。
「あっ……! ふぅ……」
夏木になんて抱かれたくないのに、番に抱かれて注がれて、身体が喜んでいる。
「もう、イったのか。早いな。まだまだこれからだからな。お前、本当に淫乱な身体してんなぁ」
先日の発情期と違ったのは、一回欲望を吐き出して、一回受け止めただけでは終わらなかったということ。
抱かれたいなんて思ってないのに、一昼夜以上、夏木に抱かれていたかもしれない。
ただ、幸いだったのは、発情の波に尚紀の理性が飲まれていたこと。具体的には、どのようなことをさせられて、どのような感想を受け止め、どう反応したのか。おそらく尚紀にとって正気の時には受け入れ難い事実だったが、朦朧とした意識と湧いた頭でほんやりと受け止めていた。
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