128 / 192
11章(7)
それじゃあちょっと診ましょう、と颯真が頷く。そして近くに設置してあるベッドを指した。
「下着をとって、このベッドに仰向けに寝てくれる?」
そう言われて尚紀は覚悟を決めて分かりました、と頷いた。
颯真が準備のために診察室から席を外し、看護師も準備をしたらこちらのバスタオルをかけてお待ちくださいね、と言って出て行った。
実はすごく緊張しているけど、一度決めたことを躊躇って颯真を困らせたくなくて、尚紀は意を決して立ち上がる。モデルは撮影や衣装合わせ、ショーなどで、人前で裸を晒すことはわりとある仕事だけど、それとこれはやはり違っていて。だけど、ぐずぐずしていると思われたくなくて、一気にパンツと下着を脱いで準備を整えた。
準備ができたと伝えると颯真が戻ってきてくれて、バスタオルをかけたまま膝を立てて足を開いて、と受診体勢を整えてくれる。
「尚紀さん、ちゃんと息してね?」
そのように颯真に言われて、尚紀は緊張して思わず息を止めていたことに気がつく。
「すぐに終わるから、深呼吸して。力抜いて。リラックス、リラックス」
そのように軽く言われて、何度か大きな深呼吸を数回一緒にした。
「はーい、それじゃあ失礼します」
そう言われて、タオルで覆われてた部分が外されたみたいで、空気に触れた感じ。
大丈夫だよ、力を抜いて、リラックスしてね、と再度言われて、懸命に深呼吸しているうちに何か入ってきた感じがした。それは颯真の指なのだろう。
深い呼吸を心がけて、ひたすら終わるのを待ちながらしばらく部屋の天井を眺めていた。するとそれが抜けて、再び何かがまた入ってきた。なんだろうと思っていると、足の間から颯真が顔を出して、尚紀を見た。
「大丈夫かな。もう少し待ってねー。今エコー入れてるから」
そう言われて、尚紀はよく分からず、はい、と答えた。挿入されたものが、何度か角度を変えられた感覚もあり違和感を覚えたが、しばらくしてそれも出ていって、颯真がお疲れ様でした、と言ってくれた。
バスタオルを元に戻してくれて、尚紀に顔を見せてくれる。気分が悪かったりしないかと聞かれて、大丈夫です、と答えた。
「服を着てもらって大丈夫だよ。落ち着いたら、先程の椅子にどうぞ」
そう言われて、尚紀は着衣を整えて椅子に腰掛けた。
颯真は端末に何かを入力している様子。尚紀を見て、優しく挨拶してくれた。
「お疲れ様でした。
結論から言うと、さっきの検査では発情期が起こるのは一週間前後って話だったけど、もう少し早いかも」
颯真が触診の感触とエコー検査の結果をまとめて教えてくれた。
「やはり中は少しずつ柔らかくなってきているし、エコーで見ると子宮も見えてきているね。多分一週間より早いと思う。今週中に次が来るね」
今週中なんて。思わぬことを言われて尚紀は驚いた。
「え……」
「そうだな、今週後半くらいだと思うな」
ともだちにシェアしよう!