142 / 192

11章(21)★

 ビーズクッションにもたれかかる尚紀に、ねえ尚紀さん、と颯真から話しかける。尚紀は、少し顔を上げて涙目を颯真に向けた。 「少しお手伝いするよ」  そう言われて、尚紀は首を傾げた。颯真が言うお手伝いの意味がよく分からなかった。 「お尻の奥に指を挿れて、少し刺激するね」  そう説明されて、沸いた頭であっても何をされるのか理解できた。驚き戸惑うが、颯真は看護師と共に淡々と準備にとりかかる。  颯真は下半身に掛けていた布団を剥がす。下は無防備でなにも着けておらず真っ裸なのだが、颯真も看護師も気にしない。 「少し寒いけど、ちょっとだけだから我慢してね」  尚紀が固まって頷くことも出来ずにいると、颯真が背中をさすってくれる。 「大丈夫。これは処置だから。リラックスしてね」 「西さん。ちょっと前ゴム被せますね〜」  尚紀の正面に屈んだ看護師が、布団を剥がされて露わになった、勃ち上がったままの中心部を掴んで、するすると薄膜を被せる。  恥ずかしい、と思う間もないくらいの早技だった。そして露わだった下半身は大きなタオルで覆われた。    すると、クッションにもたれる尚紀の背後に颯真がいた。 「尚紀さん、指挿れるね」  そのままでいいよ、リラックスしててね、と言われて背後を指で這われ、その場所にぐっとためらいなく指が埋め込まれた。 「あ……っ!」  痛いわけではなくて、その衝撃と充足感に思わず声が上がり、とっさにクッションで口を押さえる。  自分の手ではないものがデリケートな場所を刺激していることに、身体が驚き、頭がついていかない。  思わず、衝撃と快感で声が漏れるのが止められない。 「ここなら外に聞こえないし、声は我慢することないからね」  颯真にそう言われて、尚紀は素直に従う。  颯真の刺激は的確で、確実に尚紀を追い立てる。勃ち上がっていたものはさらに質量を増して、ふるふると震えている。 「はぁ……!」  背筋がしなる。 「ぁぁ! はぁ!」  しかし、背後の颯真の声は淡々としていて。 「これから中を少し刺激するから、できるなら射精しちゃおう」  ああ、やっぱりそこまでいくんだよね……と思ってたりもして。 「何も考えないで、気持ちいいことだけに集中して」  そう優しく言ってくれた。  颯真のその言葉に尚紀は素直に頷いた。颯真の指は優しく尚紀の中を掻き回す。尚紀が頷いたことで、颯真が広げるように指を広げては回して、と快感を引き上げていく。 「がんばって、もう少しだよ」  優しく颯真に言われて、尚紀の身体は力が抜けて、ビーズクッションにますますもたれかかる。 「はぁ……あ……ん」  口から喘ぎが漏れる。颯真には「きちんと声を出してえらいね」と褒められる。  颯真の手が与える刺激は的確で、尚紀は腰がゆれるのを止められない。 「じゃあ、いくね」  そう優しく言われて、体内の敏感なその場所に触れられた。 「はぁ……ああ!!」  絞り出すような声をあげて、尚紀は達した。身体が跳ねて、弛緩する。白濁はそのまま薄膜が受け止める。 「ちゃんと出たかな。お疲れ様」  何が起こったか尚紀にはいまいち理解できなかったけど、労われて、安堵した。

ともだちにシェアしよう!