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16章(11)

「事前の治療が必要というところまで話したけど、それがうまくいけば成功率も高まると言われる。被験者はフェロモンをきっちり管理して、その時が来たらフェロモン誘発剤で一気に発情を引き出す。協力者も一定期間の休薬期間をとることで、オメガのフェロモンを敏感に捉えられるようになり、その二人を引き合わせることで、成功率はさらに高まるとされる。  どちらともペア・ボンド療法の成功率を高めるために必要な準備なんだ。頑張って」  そう言われて尚紀も納得した。  事前準備が大変であることも、颯真がわかりやすく話してくれた。  会えない分だけ気持ちは募るという理屈だというのはなんとなく理解はできる。 「あと、実際の治験は特別室で行われるから」  そういわれて、尚紀は驚いた。 「特別室?」  問い返した廉に、颯真は頷いた。 「オメガが発情期になると入る特別な病室があるんだ。尚紀も発情期で入院するときに使ってる。本来は一人で発情期を越えるところなんだけど、治験の性質を考えると、ここが最適とされた」  設備が少し特殊なんだ、と颯真が続ける。 「内外から施錠可能、鍵は厳重に保管されている。なにしろオメガが安心して発情期を越えられる場所にしないとならないからセキュリティは万全だ。防音室になっていて、数日こもっていても問題ないくらいの設備になっている。あと、室内の様子を確認できるようにカメラが設置されている」  廉は頷いた。 「なるほど。院内でアルファとオメガが番う場所を考えると、開放感がある病室ってわけにはいかないだろうし、オメガの発情期だってどのくらい続くかわからないしな」  そして、彼の綺麗な眉が少し寄った。そして口に指を当てる。 「ってことは、俺たちが番うところは見られるってことか……」  その言葉に尚紀は驚くが、颯真は頷く。 「そういうことだ」 「なんのプレイだ」  天井を仰いだ廉に、颯真は再び頷いた。 「そこは、あくまで治験なんでね」

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