282 / 291

16章(18)★

「尚紀?」  廉の少し困惑気味な声に、申し訳なく思う。 「ごめんなさい。なんか寂しくて……」  なるべく素直に気持ちを出したほうがいい気がしてそう白状したが、廉の体温と香りに、徐々に気持ちは落ち着いてきた。現金だけど、本当にそうなのだ。  廉は少し困った様子を見せている。  彼は優しく慰めるように頭を撫でてくれた。きっと、このどうにもならない気持ちを理解しようとしてくれているのだと思う。 「もう、今日は離れたくないです……」  だけど明日からは離れ離れ、という気持ちが込み上げる。その本音を廉もわかってくれると思う。尚紀が廉のジャケットをぎゅっと握った。気持ちが伝わっていることを強く願う。 「廉さん……」 「尚紀の望むままに」  その口調に、オメガの子供じみた独占欲を全て丸ごと許してくれる、江上廉というアルファの大きな包容力を感じて、尚紀は安堵する。 「もう……大好きです」  廉が尚紀の背中をさする。気持ちよくて思わず廉を見上げると、彼の唇が尚紀のそれに重ねられた。ふいに落とされるキスに驚きながらも期待が膨らむ。ふっと息を逃すと、すかさず舌が入り込んでくる。漂う廉の香りにふわふわとした気持ちがのって、彼の首に腕を回した。  そのままジャケットを脱いだ廉は、ベッドに乗り込み、尚紀に覆い被さった。 「今日は寝かさないよ」  情熱的な言葉にワクワクが重なる。不安な夜を過ごさなくて良い。ずっと廉を感じていられるのだ。なんて幸せ。尚紀の身体の中のオメガの部分がキュンとして、じんわり何かが滲んだ。 「……はい」  廉の唇はとても気持ちがいいのに、それが不意に自分の唇から離れる。 「あん」  思わず抗議の声を上げると、廉の唇はそのまま首筋を這い、鎖骨、そしてその下へ。唇? いや舌だ。いつのまにかシャツの前ボタンはくつろげられていて、そのまま廉は尚紀の胸元にたどり着いた。 紅い突起を含まれ、快感で身体を揺らすとそのまま手が下半身に伸びてくる。廉の愛撫にうっとりと身を委ねていると、そのままするりとパンツも脱がされてしまった。当然その下は下着一枚で心許ない。  廉に触れられて、彼に露わにされて嬉しいのに、恥ずかしさが優ってしまい、思わず声が上がる。 「あーいゃ……」  でも、その拒絶の真意は通じているみたいで、廉はふふっと笑みを浮かべるばかり。それはそうだろう、尚紀のフロント部分は欲望と期待で大きく膨らみ、下着を押し上げつつある。 「辛そうだね」  楽しそうにそこに触れられて、腰が揺れる。全身が性感帯になったように敏感で、気持ちがよくてうっとりしている。 「れんさん……」  愛しているよ、尚紀、と言われて廉の手で、下着が下ろされた。

ともだちにシェアしよう!