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17章(4)

 尚紀にとっての番の香りを探る「嗅覚反応プロファイリング」は翌日も行われた。  しかし、その日は前日の疲れがあったせいか、始めてすぐに気分が悪くなってしまい中止に。草壁にはゆっくり休養して進めましょうと言われ、再開したのはその次の日の午後。時間を決めて休息を入れつつ進めていったが、芳しい成果がなく数日が過ぎた。  本当に自分にそんな反応があるのかと不安にかられ始めた頃、尚紀の身体にわずかな反応がみられた。  その香りに触れて、尚紀は、目の前を何かが通り過ぎた気がした。瞬きをして視線が泳いだ。 「一旦止めます」  草壁がそう宣言して、彼は尚紀の元にやってくる。 「西さん、なにか感じました?」  尚紀も何が触れたのかわからないが、何かに触れた気がした。鼻に指をあてて、首を傾げる。 「なんか……」  しかし、尚紀はその感覚を言葉にすることが難しい。それが彼にも伝わったようだ。  草壁が無理して言葉にしなくてもいいですよ、と慰めてくれる。 「少し本格的に調べましょう。森生先生にも連絡してください」  周囲が少し動いた。慌ただしく検査師が機材を準備している。尚紀は事情が掴めず、ただ眺めていたが、もう少しこの香りの周辺を詳しく調べますね、と草壁に説明された。これは様々な香りに触れた中でわずかに掠り始めているということだろう。  初日以来しばらく同席していなかった颯真が、検査室に呼ばれてやってきた。 「草壁さん」 「先生、ようやく少し進展しました。さらに掘ります」  草壁の報告に颯真が頷いた。 「お願いします」  尚紀の鼻元にカニューラが装着される。これからはそこから香りが放出される仕組みだと説明を受ける。  さらに颯真の声が響いた。 「草壁さん、STI指標も追加してください」 「わかりました」  草壁は即頷き、尚紀に向き合う。 「西さん、下着をとってもらえますか」  突然そう言われて尚紀は驚く。 「え、なんで」  思わず挟んだ疑問に草壁はパチンとラテックスグローブをはめながら言う。 「お尻の奥もモニタリングしますね」  そう言われてベッドサイドに物物しい機械が運ばれてきた。  促されて、尚紀は下着をとって指示通り脚を開くと、デリケートな部分を指で探られ、アナルになにかをぐっと挿入された。 「う……」  いきなりの衝撃に背筋が揺れて呻いてしまう。大丈夫ですかと一応気遣われる。 「番の香りに一番反応するのはそこなんです。少し違和感もあると思いますが、じきに馴染みます。ちょっと我慢してくださいね」  颯真が指示した「STI」というのは、括約筋のモニタリング指標のことらしい。  浅い呼吸で違和感に耐える尚紀のお腹を、温かい手でさすりながら草壁は説明してくれた。  草壁にデリケートな場所を見られたうえに、お尻からコードが伸びていて恥ずかしいし、脚を閉じていても違和感もあって気持ち悪いが、これは検査が一歩進んだということなのだろう、と自分を納得させた。 「いいですか、これからチューブに絶えず香りが流れてきます。引っかかる感じがあった場合は、ボタンを押してくださいね」  手元にボタンを握らされる。 「わかりました」 「ご自分が楽な態勢で大丈夫ですよ」  そう言われたので、横向きに横たわる。  少し楽になった。  草壁が身体にタオルケットをかけてくれた。

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