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第22話 頑張ってみた
「なあ、雪ちゃん、今日は風呂一緒に入らへん? 俺、洗ったるわ」
柳のマンションの風呂は、2DKのマンションの割りには広い。
前にも一緒に入ろうと誘われたことがあって、その時には遠慮したのだけど。
したいことはなんでもさせてあげる、という佐野の言葉が脳裏に残っていて、雪本は素直に一緒に入ることにしてみた。
今更恥ずかしいと照れる間柄でもない。
社員旅行でも、風呂は一緒に入るのだ。
マットの敷いてある風呂場で、柳はイスに雪本を座らせると、後ろから抱きかかえるようにして、身体を洗ってやる。
丁寧に、ボディーソープを手にして、全身をなで回す。
髪は自分で洗う、と雪本が言うと、柳はその間に自分もさっと身体を洗って、浴槽のふちに腰掛けて雪本を待っていた。
髪を洗い終えた雪本が目を開けると、目の前に柳の下半身があった。
勃起していないモノを見るのは、めずらしい。
つい、触れてみたくなり、手を伸ばす。
「柳さん……してみてもいい?」
「何を?」
ニコニコしながら、柳は雪本の手で弄ばれる感触を楽しんでいる。
「俺、いつもしてもらってるから……」
雪本は、勇気を出して、唇で柳のモノに触れてみる。
口に含むと、柳のモノはみるみる膨張した。
「雪ちゃん、無理せんでええねんで」
頭をなでてくれる手が心地いい。
一生懸命しゃぶっていると、柳が時々ぴくりと反応したり、息を漏らしたりするのが、嬉しい。
「雪ちゃん……俺も一緒にしたいんやけどなあ」
「一緒に?」
口を離して柳を見上げると、柳はマットの上に横たわり、雪本を誘った。
「俺の上、またいでしてくれると、嬉しいんやけど」
それは、俗にいう、シックスナインという体勢だ。
今までそんなことを、柳にお願いされたことはなかったのだけど。
今日はどうしても、柳の望みは全部叶えてあげたくて、雪本はおずおずと、柳の身体の上をまたいだ。
恥ずかしさをごまかすように、再び柳のモノを口に含む。
「もう少し、お尻上げて」
尻を両手で割り開かれて、雪本は驚いて飛び上がりそうになる。
予想と違う場所を舐められる……
思わず逃げようとした瞬間、捕まえられて、温かい感触が、ぬるっと後孔に触れた。
「やっ、柳さんっ」
「ずっとこうしてみたかったんやで。今日の雪ちゃんは大サービスやな」
柳の嬉しそうな声に、雪本は恥ずかしいのを耐えて、尻を突き出した。
いつも柳がしてくれる熱くて執拗なキスが、今は尻の穴に……と思うと心臓が爆発しそうになる。
「や、ああっ、舌、挿れないでっ」
「我慢して。俺のしたいようにさせて」
めずらしい柳のわがままに、雪本は何も言えなくなって、四つん這いのまま背筋を震わせた。
何度も何度も、舌を差し込まれて、快感の波が大きくなっていく。
「雪ちゃん、指、挿れるで。力抜いてや」
石けんでもつけたのか、ぬるり、と指が差し込まれる。
深く差し込まれた指は、すぐに雪本の急所を見つけ出してしまう。
「あっあっ、やっ、ああんっ」
雪本はついに柳のモノから口を離して、両手で身体を支えないと耐えられなくなってしまった。
柳は、ずぶずぶと後ろを解しながら、雪本の下から抜けだして、マットの上に座る。
「雪ちゃん、こっち向いて。ひざの上においで」
雪本は指をつっこまれたまま、素直に柳の膝の上に足を広げてまたがった。
後ろに手を回して、柳は突くように指を出し入れしている。
「ああ……んっ、柳さんっ、も、ダメっ」
「腰、少し浮かせて」
引き抜かれた指の代わりに、そそり立った柳のモノが突きつけられる。
「雪ちゃん、今日は上になってみて」
できるだろうか……と雪本は恐る恐る、柳の固いモノを自分の尻に突き立てる。
「ひっあっ、ああっ」
「ゆっくり、ゆっくり腰おろして」
「んんっ、大きいっ……」
中途半端に突き入れたまま、震えて動けなくなってしまった雪本を、柳は抱きしめた。
「よう、頑張った」
少し笑いながら、頭をなでる。
まだ、自分で挿れるのは、雪本には荷が重かったようである。
「挿れるで。力抜いて」
下からゆっくり突き上げられるモノに、貫かれながら、泣きたくなるほど雪本は感じてしまう。
優しくて、雄々しくて、いつも快感だけを与えてくれる柳の熱い固まり。
奥までゆっくり擦られて、じわっと胸が苦しくなった。
「柳さんっ、柳さんっ」
「大丈夫か? 痛かったんか?」
「俺……柳さんが、好きです……」
「なんや、雪ちゃん。今日はどないしたん?」
柳は優しく雪本にキスをしてやる。
舌を絡めると、ひくん、と雪本の中が柳を締め付ける。
「好きなだけで、ごめんなさい……」
「アホやなあ……こないに俺を幸せにしてくれてるのに、これ以上なんにもいらんよ」
柳はあやすように、雪本の背をなでる。
繋がったままぴったり抱き合う安堵感に、なぜだか今日は胸が締め付けられる。
「雪ちゃん、ほんまに俺のこと好きになってくれたんやなあ。大事にせなアカンな」
「もう、してもらってる……」
深くキスをしながら、ゆっくりと柳は腰を動かす。
「柳さん……すごい、感じ、る……」
「気持ちええか? 雪ちゃんも動いてみ?」
雪本は初めて、自分で腰を浮かせて、沈めてみる。
気持ちいい場所が擦れて、たまらない。
「たまには、モメ事もええもんやな。こんなご褒美もらえるとは思てなかったわ」
「モメ事?」
「今日の雪ちゃん、ヤキモチ焼いてくれてるんやろ?」
柳は、雪本の目をのぞきこんで微笑む。
「そんなつもりじゃ……」
言いかけて、そうかもしれない、と雪本は思い直した。
なんとかして、昔の恋人など忘れて、自分だけを見て欲しいと思ったのだ。
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