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ふんわりと、浮かぶ白い玉が、パチンッと。 弾けた。 その瞬間、二人の運命は廻り始める。 平安京の時代に、二人は、男と女。 夫と妻だった。 互いに、支えながら生きていくという事を学びながら、育んでいった愛。 それは、軈て、形として現れる。 何時の日か。 『貴方様が…女性に、定義を持ちません様に』 夜空を彩る星に願う姿は、健気だ。 風に吹かれる桜の花弁が…。 彼女を包む様に、舞う。 これぞ、いと、うつくしい。 そんな声が、何処か遠くに聞こえていたとしたら、春の曙に、包まれ、眠っている者の元かも知れない。 だけど…。 まだ、声には、答えてはくれない。 けれど、桜の精は、聞いていた。 -…伝えるには。 彼女の、魂が共鳴してからなのだろう。 これは…。 昔々、京の都を騒がせた左大臣の姫君と、その、夫の甘い甘い物語になる筈だった。 運命とは悪戯とは言ったものだ。そして、神も悪戯で、気紛れだと。 廃れたと思っていた巫女の力が、世代を超えて、継がれるとは思っていなかった。 開かれていく、歴史の中で、巫女としての力が、目覚めたのは、二回。 そのどちらも、女だったのを、彼女は忘れていた。 忘れていたから、来世で、起きうる事件は知らず、天命を真っ当したのだ。 鳴呼…。 神よ、何と、残酷な。 天命を真っ当したなら、その仕打ちは、無いと思います。 今一度、考えを改めて下さい。 でなければ、グレてやります…。 そんな切なる声も、聞いてはくれず、彼女の運命は、来世で、魂の共鳴を始めるのであった。 あの、桜が、再び、導くとは知らずに。 深い眠りに入っていった。 神の、ほんの気紛れ。 ほんの…。 悪戯。 白桜の香りがする左大臣の姫君に。 綺麗な黒髪が、何とも、素敵だと思ったから。 少しばかり、お付き合い下さいませ。 -…●●●さん。 シャラーン、シャラーンと、鈴の音が鳴ると。 白い霧が、辺りを包み込んでいった。

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