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第二章:来世では、とんでもなく、進化しました。

-天界·リオ·光皇城·光皇殿 「昔々、とある時代に、一人の美しい女性が生まれました。黒い艶髪に、西洋人形みたく青水晶の双眸で、少しばかり、気が強い美人。それは、この世界で言う…」 足の上に乗せている少年に、女性は聞かせていた。 ふっと、視線を玉座近くを掃除している青年に、向ける。 そう、物語に登場してくる女性は、彼の様だ。本の世界から現れたんじゃないかと言うくらいに、目を惹く、黒髪。 そして、魅了してしまうくらいの異なる瞳をしている。 「…」 「“彼”のようだ…」 前世での綺麗な青水晶を嵌めた瞳は、何故か、異なる色になってしまったが、面影があるのは確か。 ま、それも神と、龍族の間に生まれた証。 その証拠に、青年には不思議な力があった。代々と受け継がれてきた力なのか、本人は無自覚に等しい。 「…水春(みはる)様だぁ」 「今日は、此方の手伝いらしい。本来なら…彼の担当は、下界の偵察プラスに、黄龍帝の執務がある…」 「そうですね、母様。あぁ、世の男が、頬を染める理由も解ります」 目を、キラキラと、輝かせながら、少年は噂の彼を見る。 だが、世の男という言葉が気になった女性。容姿が原因なのは、解っている。 誰も、性別さえ触れなければ…。 -…女に、見える。 思わず顔を、引き攣らせた。 「愬(さく)…」 「はい、母様」 「水春は、男だぞ…」 「ぇぇぇぇぇっ」 この日、天界には、光皇帝きってのイケメンに育つと言われている『光皇帝 音月(こうおうてい いんつき)の息子『光皇帝 愬(こうおうてい さく)』が、叫ぶ声は、遥か遠くまで、響いていった。 掃除をしている彼『藤松の君』と呼ばれている『暁野帝 水春(あけのてい みはる)』の性別を、本日、知った為だ。 こうして、穏やかな日々は、光皇帝の第一皇子の声により、幕を開く。

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