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-天界·千風妖國·暁野帝邸·執務室
時計の針が、チクタクと、秒を刻んでいく中、肘に顔を乗せている女性が口を開いた。
「で、水春は?」
「只今、光皇帝の方で、掃除をしています…」
「相変わらず、マメね…。誰に、似たのやら。きっと、父親ね」
報告を受けた彼女は、呆れた表情をする。
暁野帝の総帥『暁野帝 あやめ』。光王族の一つに値する家系で、少しばかり特殊であった。
彼女の息子、つまり、光皇帝邸まで赴いている水春は、少々、生真面目な部分が存在していて、よく、考えれば、彼の父親は、堅物の鏡と言っても過言ではない。
アチラは、龍神な為に、掟が色々、存在する。一緒に、暮らすという考えは起きなかったのは、あやめの性格上かも知れない。
別に、離れて暮らす事が、苦ではないからだ。
「それは、絢瀬(あやせ)様が、真面目龍神と言っているんですか?あやめ様…」
「他に、誰が居る。私の夫は、黄龍帝 絢瀬だけだ…。生涯を共に生きると決めて、契を交わした」
「言いにくですが、あれは、貴女様が、強引に、求婚を申し付けたんじゃありませんか。いくら、絢瀬様が、紅奈(こうな)様のご息子だからって…」
「世も末だな」
執事に言われ、彼女は、話を誤魔化した。
随分、昔に、彼の父親である『赤龍帝 紅奈』に聞かれた事があった。
『君の担当は、西の生き神子『皇華帝』でしょう。僕の息子って、そんなに、色男かな?契を交わして、利益はあるの…』
何とも、恐ろしい言葉が出てくるもんだと思った。
容姿はあどけない感があって、説明がなければ、水春と同じくらいだと勘違いをしてしまう様な顔付き。話し方も、他の兄姉弟妹とは違う。
よくよく考えてみれば、可愛い皮を被った小悪魔だ。
あれだけは、敵に回したくない相手だと、あやめは、把握している。
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