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あどけない顔をしながら毒を吐く。
そして、軍を率いる隊長でありながら、シスコン。改善されているかと思えば、長男の煌月が苦労する程のスーパー悪化をしているのをあやめは知っている。
確か、下界に長女が、居るのを聞いた。
人間と契を交わすという柵(しがらみ)を、無くした本人。
神でも、人間に恋をする。
偏見があったのは事実だが、話を聞いていたら、私も納得出来た。
赤龍帝と黄龍帝の血を引いている紅奈に、息子である絢瀬。そんな二つの血を濃いく引き継いでいる水春。
「あやめ様が、考えている事は、もしかして、下界に居る紅奈様の姉である儚(はかな)様の所へ、水春様を送ろうとしていますね…」
「可愛い子には、旅をさせろという言葉もあるじゃないか」
「絢瀬様に、怒られますよ…」
「水春も、良い年齢だ。そろそろ、広い世界を知ってもバチは当たらないと思っている。紅奈様の姉が居るなら、偵察がてらに寄ってもらおうかと、考えていたんだが、紲兎(せつと)は、解ってしまったか」
紲兎と呼ばれた男性は、呆れた表情をする。
彼女の考えが、解ってしまった時点で、予想的中してしまったのが、ショックだった。
息子である水春を、下界へ、赴かすという話に、父親である絢瀬の耳に入ったら、お仕置きされる事を、想像しているだろうか。
「何年、お仕えしていると思っているんです?」
「私と、絢瀬が、契を交わす頃からだったな」
記憶によれば、契を交わす時、下界に居る長女、儚の話をしていてのを覚えている。
『あの娘には、のんびりと暮らして欲しいんだ』と、黄龍帝 梓威(おうりゅうてい しい)が、言っていた筈。
つまり『二人には、触れるな』と、釘を打たれたのだ。
なのに、あやめは、誇示付けて、水春を降ろさせようとしている。
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