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【紲兎side】 この主、息子を、下界へ、降ろす気満々だ。 私は、貴女のお仕置き姿が、目に浮かびます。普段は、穏やかで、爽やかな雰囲気で隠されている絢瀬様の性格。 逸話の中にある『浦島太郎』の主人公である邇邇芸之尊(ににぎのみこと)と木花咲耶姫(このはなさくやひめ)との間に生まれた三男坊も、ビックリ玉手箱だよ。 あれは、長男を負かそうと、業っと、釣り針を落とした。 その結果、激怒した長男が『海まで取りに行って来い。じゃなきゃ』という話だ。 因みに、海の神は、海神(わだつみ)であり、娘が、一人居る。 それが、豊玉之姫(とよたまのひめ)なのだが。 彼女の正体を知った浦島太郎は、逃げたそうだ。 『鮫、鮫ですよ!姿が、どんなに美しくても、本来の姿が、鮫なんて』 なんて、叫んで…。 慌てふためいていたそうな。 その、瞬間、動物虐待だと思った。 私は…。 結構、動物が好きだ。 それは、草食、肉食に限らず、哺乳類、爬虫類も、こよなく愛せる。 しかし、彼の場合は、美しい容姿しか見ていなかったのだろう。でなければ、玉手箱を開けて、老人にはならない。 ま、理論が解らないのは私だけかもなんて思ってみたり。 そういや。 豊玉姫の耳に付いている耳飾りは、引き潮と満ち潮を表していると、聞いた事あったな。 「そうです」 だから、私は、思うのだ。 絢瀬様の叔母の元に、送るのは、如何なものかと。 「もう、昔の事だが、懐かしく思うよ。紲兎が、暁野帝に仕えてくれて助かる。でなければ…水春の世話に、私は、お手上げだったかも知れない…」 「自由奔放にも、程があります。絢瀬様は水春様を可愛がり過ぎている部分もありますが、育児放棄はしないと思います」 「だろうな…」 「皇華帝に、仕えている以上、総帥としての自覚をお持ち下さいませ。琥炎(こえん)様が、仕事をサボるのは解りますが、姫咲(ひめさき)様から頼まれたのですから仕方ありません」 大方、琥炎様の態度に、問題ありかと。

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