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-天界·千炎華國·澄雲帝邸·庭
此処は、四人の生き神子が一人、南の『燈炎帝(とうえんてい)』が、所有する千華炎國。
その、燈炎帝に仕える者が居る。それが、光王族の一つ『澄雲帝(とうんてい)』だ。
「母上からの言付けだ。とっとと、契を交わす相手を探せと、承った」
テーブルに、資料を置く、男性は、相手に吐く。
確かに、今の澄雲帝は忙しい。嫁決めは、何かと慌ただしい日々が続くからだ。
彼こと『燈炎帝 砂闇(とうえんてい さや)』は、怪訝な表情をする。
四人の生き神子の一人である南の『燈炎帝 阿利那(とうえんてい ありな)』は、一つ食わせ物だ。
綺麗な顔をしている割には、えげつない部分があるのを男性は、理解していた。
「解ったよ、砂闇…」
「絛緇(とうし)、俺は、兎も角、母上を失望させるなよ」
ふっと、吐かれた科白に、彼は思い当たる事が一つあった。
お見合いをするに辺り、必ず、神子の意見が必要になる。無論、己自身も例外ではない。
しかしながら、写真を見て、何処の令嬢でもOKという訳にはいかないのだ。
人というのは、好みがある。
そう、絛緇にも選びたい相手が居るのだ。
目の前に居る砂闇は、北の神子『神楽帝』の三男が許嫁であり、それは愛らしい顔をしている。
-…だが、疼くんだ。
警報と言えば良いのか。
あの類は、阿利那の母親『瀧覇(ろうは)』みたいな匂いがする。
明らかに、裏があると感じられるのだが、砂闇自身が触れないので、言わないでおこう。
ただ、瀧覇と言えば、東の神子『阿驪美夜(ありみや)』のご息子。
何故、此処に嫁いだかと言えば、大昔に前神子である『篤霧(あつむ)』が、発端だった。
当時は、流石の父親も悩んだらしい。
燈炎帝に仕える事が、澄雲帝の誇りだと教えられてきた。
主無くして家臣は居ない。
けれど、篤霧の五人兄妹弟の中で、長女と五男を抜かし、争奪戦が始まった。
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