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けれど、雰囲気が、何とも…。 何で、私が、此処に居るのかも解らない。 確かに、京都では、一の宮以外に、貴船神社は有名だ。毎年、能楽や神楽が広げられている。 特に『尾張』は、有名だろう。 私も、観に行った事があるくらいだ。人間の醜さが、一番解かりやすい舞劇じゃないだろうか。 面は…。 人を表す。 あれが、語源なのかは解らないけど『女は恐い』とか『鬼にもなる』とか、貴族の中では、噂になっていたわ。 雰囲気あるのよね。 暗闇の中、松明が焚かれていて、そして、丑の墓刻参りで有名なもんだから鬼が出てきそうなイメージが湧く。 舞っている者達の迫力ある演技に、龍笛の音色。 「京都の一の宮は、二つあって、下賀茂神社と、上賀茂神社ですわ。確かに…貴女が言う様に、貴船神社も有名ね。だけど、ランクって、何?」 「神の世界では、創造神が居て、その下に国造り神が居るの…。それから、枝がこう、生えていて、神々が存在するのよ…」 つまり、大奥で言えば、御上が上で、その下が、左大臣と右大臣みたいな感じかしら。 システム的には、そうよね。 「えっと、人間で言えば王族と貴族みたいな?」 「まぁ、簡単にはそうかも知れませんね。ふふっ、貴女って、面白いわ…」 「そうかしら」 「えぇ、人間にしては、面白い。私が知る人間は、醜さも残酷さも含んだ者を言うから。貴女みたいな人は、初めてだわ…」 彼女の瞳が一瞬、翳りを落とす。 「人間とは、汚い物です。各言う私だって」 「そう、威勢を張らなくったって、食べたりしませんよ。貴女は、不思議ね。この世界で、呼吸している…」 それが、不思議に値するのかしら。 思わず私は、首を傾げた。 「普通は、呼吸出来ないの?」 「余程の…神力が無いと、多分、出来ないわ。並大抵な人間が、此処で呼吸するのって大変なの。だって、聖界とは、創造神が棲む場所だから…」 今、衝撃的な言葉が、彼女の口から出た。

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