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「えぇぇぇ!」
反芻した私は、彼女をまじまじと見た。
少女なのに、足元にも及ばないくらい偉いと捉えて良いのよね。
まだ、成人年齢じゃないのは、見た目で解る。しかしながら、神の成人年齢の基準が解らない。
私が住んでいた場所なら『十三歳』で、戴冠式を迎える。
無論、私だって迎えたのだから、立派な大人だ。
「ふふふっ、面白いわ」
「私、左大臣の娘ではあるけど、御上と同等の立場な人に、軽々しく…」
「良いのよ。他の人間とは違う感じがしたから、追い出すのを止めたわ。それに、甘い香りがするわね」
「…練り香水かしら」
そういや、百地 岳山も同じ事を言っていたわね。
天命を真っ当して、何処かで、毒を吐いていそうだわ。長年と夫婦をやってきた割には進捗無かった気がする。
「あっ」
「…」
「そういや、ティータイムなんて如何かしら。下界では、飲まないかも知れないけど…とても、美味しいの」
何かを察知したのか、彼女は、突然と思い出したかの様に、微笑みながら言った。
-…ティータイムって、何?
聞かない羅列に、頭の中に、クエスチョンマークが浮かぶ。
そもそも、この世界が、夢なのかも解らない。彼女を見れば、異なる瞳をしている。
「あ、あの、私、貴女の名前を…」
「久しぶり過ぎて、自己紹介するのを忘れていたわ。私の名前は“レイナ”と言うの。宜しくね、咲春さん」
「ふぇっ、私の名前を、何で、知っているんですか…?」
「秘密」
名乗ってないのに、彼女は、私の名前が解っている。
神だからなのか、人間の思考を読んでしまうのは。
「えっと、秘密と言われたら、気になるんですが…」
「そうね。あの、白桜が、貴女に似ていたからとでも言っておくわ」
指を指した方向を見ると、はらりと、白い花弁が舞っている。
此方の世界でも拝めるとは思わなかった。
住み慣れた土地にも、咲いていた桜の木と同じなんて、嬉しさが込み上げる。
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