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第48話 そんな…… ③

晴人さんはこんなに僕の事を考えてくれているのに、僕は晴人さんに秘密にしている事だらけ。 僕がこんなに秘密だらけだと、晴人さんが気づいたら、幻滅されてしまう。 今、向けてくれている眼差しも、優しく撫でてくれる手も、もう僕には向けてくれないんだ……。 そんなの嫌だ!!  そう思うが、 僕が悪いんだ……。 僕がそうさせてしまったんだ……。 僕なんかが晴人さんの隣にいていいわけない……。  とも思ってしまう。 「瑞稀、ずっとそばにいてくれ……」  晴人が瑞稀を引き寄せ、抱きしめた。  久しぶりに感じる晴人の体温。  トクントクンと心音が聞こえてきそうで、(すさ)んだ心が癒されていく。 僕は晴人さんの隣(ここ)が好き。 でも、僕は晴人さんの隣(ここ)には、もういられない…。 晴人さんは、素敵な方と結婚して、素敵な家族を築いて、立派な病院の院長先生になって、たくさんの人を救うんだ。 僕が晴人さんを独り占めなんて、してはいけない……。 だから最後に……。 「あの、晴人さん……」  抱きしめられながら、瑞稀は晴人を見上げる。 「ん?」 「来週のお休みって、いつですか?」 「来週? 来週は確か金曜だったかな? でもどうした?」 「その日、僕もお休みを取るので、久しぶりに家で二人ゆっくり過ごしませんか?」 「え?」 「前みたいに二人でお料理して、二人で散歩したり、映画も観たいです。その日(・・・)は、晴人さんとずっと一緒にいたいです」   『その日』は……。 その日だけは、朝から眠るまでずっと一緒にいたい。 『その日』だけは……。 「ああ! そうしよう! 瑞稀はなにが食べたい? 材料買っておくよ。観る映画も決めておこうか。でもその日の気分できめるのもいいな……。それから、それから……」  期待で胸を膨らませた晴人が、生き生きと話だす。  そんな晴人の横顔が、瑞稀には眩しく見えた。  キラキラ輝いている晴人(この人)のそばにずっといたいと思った。  二人どこか誰も知らないところに、行ってしまいたいと思った。 大好きだ……。 愛してる……。  愛してるからこそ、晴人の幸せを、未来を、自分の勝手で壊してはいけないと思った。 「楽しみですね」  瑞稀が言うと、 「ああ、本当に。明日が金曜ならいいのに」  少年のように晴人が笑った。

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