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第55話 雪の日の出会い ③

 昴の言うように、瑞稀が保育園についた時より雪が道路に積もり、風と雪が合わさって視界も悪かった。  昴と瑞稀、そして二人の子供たちは昴が待たせていた車に乗り込んだ。  車の運転席には運転手らしき人が座っている。 「ご自宅まで送ります」  助手席に座った昴が、後部座席に座る瑞稀に声をかける。 自宅まで送ってくれる……。 それは本当にありがたいし、悪い人にも見えないけど、今日初めて会った人に自宅の場所を知られるのもな……。 「あの、帰りにスーパーに寄ろうと思っていたので、スーパーまでお願いします」  当たり障りのないであろう返事をする。 「スーパーからご自宅は近いのですか?もし遠くならしばらく駐車場で待って、買い物が終わられ手からお送りしますが……」  昴はそこまで言い、「あっ!」と困った顔をした。 「初対面なのにご自宅の場所を聞いてしまって、すみません。あの、変な意味はないんです。ただ、この雪の中、子供と一緒に歩くのは大変かな?と思って…。あ、私、雫の叔父で内藤と言います。雫の母親が私の姉でして、妊娠中の姉の代わりに雫をむ迎えにきただけで、決して怪しいものではなくて……。あ~なんて言えばいいか……。やっぱり不審者に見えますよね……」  本当に困ったように、昴は頭を掻いたので、瑞稀はフフフと笑ってしまった。 「不審者になんて見えないですよ。雫くんの叔父様だったんですね。私は千景の母で成瀬と言います。確かにこの雪の中、買い物をして千景と手を繋ぐのは難しので、買い物はまた後日にします」 「え?大丈夫なんですか?」 「はい。急ぎませんので」 「それじゃあ、どこまでお送りしたら良いですか?」 「それでは、この近くのドラッグまでお願いします。そこまで送っていただけましたら、家まですぐなので」  実はそれほど自宅から近いわけではなかったが、ドラッグストアまで送ってもらえれば、あとは幅の広い歩道を歩くだけなので、雪道でも危険はない。 「ではその店までお送りします。店名教えていただいてもよろしいですか?」  瑞稀が店名を伝えると、車は走り出す。  瑞稀と同じく後部座席に座っている千景と雫は、一緒に帰れたことが嬉しいようで、二人手を繋いで大好きな戦隊モノの話をしている。 「成瀬さん、ご趣味はなんですか?」 「え?」  いきなり昴にお見合いの時のような質問をされ、瑞稀は戸惑った。 「趣味、ですか? 全然上達しませんが、料理をすることが好きです」 こんな感じの答えでいいのかな?  瑞稀が答えると、 「私も料理が好きなんです」  昴はシートベルトをしているにもかかわらず、後部座席に座る瑞稀の方に体ごと向ける。 「因みに何料理がお得意ですか?」  また昴からの質問。

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