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身体をつなげるために
<side月坂蓮>
ルーファスさんの僕への想いを聞いて、絶対に死なせるわけにはいかないと思った。
僕が帰ればとんでもない未来が待っていたとしても、それでも僕が幸せでいてくれたらいい。
そうはっきり言ってくれた時、僕の気持ちは固まった。
こんなにも僕を思ってくれている人を捨てて、元の世界に戻って果たして幸せになれるのか……。
いや、絶対になれない。
きっとあっちに帰っても、ルーファスさんがどうなったかが気になって仕方がないはずだ。
父さんと母さんは僕がいなくなっていっときは寂しい時を過ごすかもしれない。
それでも二人で生きていける。
でも、ルーファスさんは僕がいなければ生きている意味もない。
そう言ってくれたんだ。
だからこそ、僕はルーファスさんと一緒にいたいと願った。
結局、元の世界に戻る方法はないと言われたけれど、その前に自分で気持ちに踏ん切りがついていたから、悲しいとも何も思わなかった。
ただ唯一の心残りといえば、父さんと母さんにさようならが言えなかったことだけ。
いつか、父さんと母さんに夢の中でいいから会ってここで幸せにしているよと伝えたい。
僕の願いはそれだけだ。
お医者さんのイシュメルさんに診察をしてもらって、食べたいものを食べたい時間に食べたいだけ食べるってことと、よく寝なさいってことと、僕の体調に合わせて作ってくれる薬も飲みなさいってことは理解できた。
だけど、僕の身体で一番大事なことだと言って話してくれた内容は全く理解ができなかった。
身体を繋げるのは1ヶ月待つこと。
それに備えて薬で拡げること。
それをしなければ裂けて寝室が血塗れになるのだということ。
大まかにこういうことをイシュメルさんとルーファスさんは話していたけれど、そもそも身体を繋げるってどういうこと?
裂けて血塗れって一体どこが裂けるの?
二人の中でどんどん話が進んでいくのに水をさすようで申し訳ないと思いつつも、それが気になって仕方がなくて尋ねてみると思いもかけない答えが返ってきた。
「身体を繋げるというのは深く愛し合うということだ。男女であれば、それで子が出来る」
男女であれば子ができる……子が出来る……子が……。
って、それって……。
えっちするってことだよね?
僕はまだ誰ともえっちしたことはないし、そこまで詳しくは知らないけれどそれって男同士でも出来るものなの?
それともこの世界が特殊なの?
いっぱいハテナが浮かんできて、ルーファスさんに男同士でどうやってえっちする……身体を繋げるのかと尋ねてみると、後孔を使うんだと言われて、一瞬、後孔? と思ったけれど、スッとルーファスさんの手が僕のお尻に触れてわかった。
後孔って、お尻の穴ってこと?
そこにルーファスさんのモノを挿入 るのだそうだ。
その時、不意にあのお風呂で触れた大きな棒のことを思い出した。
もしかしてアレがルーファスさんのモノだったんじゃないかって。
あの時、触れた感触では僕の腕くらいはありそうだった。
きっと僕を怖がらせないようにタオルを巻いてくれていたんだろうな……。
でも、あの棒みたいにおっきなルーファスさんのモノを僕のお尻に入るなら、確かに裂けてもおかしくはないのかもしれない。
あのあたりは大きな血管も張り巡らされているらしいから、裂けたら血塗れになるのもわかる。
そうならないために薬で拡げて、ルーファスさんのを受け入れられるようにするってことか。
なるほどね。
んっ?
ルーファスさんとイシュメルさんが二人で何か話しているみたいだけど、なんだろう?
僕は聞かない方がいい話かな?
邪魔しちゃ悪いなと思いつつ、気になることをそのままにして置けなくて、二人に声をかける。
「あ、あの……」
「んっ? レン、どうした?」
「その拡げる薬って、どうやって使うんですか? 僕にもできますか?」
「「えっ?」」
「ルーファスさんのおっきなのを受け入れるためにはその薬で拡げないと難しいんですよね? 早く拡げられるように僕も頑張れたらなと思ってるんですけど、僕にもできますか?」
そう尋ねた瞬間、ルーファスさんの大きな体に抱きしめられた。
「ああっ!! レンっ!! 私は嬉しいぞっ!!!」
「えっ? ど、どうしたんですか?」
ルーファスさんに満面の笑みで抱きしめられながらも、なんでこんなに喜んでくれているのかもわからない。
「私と身体を繋げるために頑張ってくれるのだろう? それは私と身体を繋げても良いと言ってくれているのだな?」
「えっ? あ――っ、あの……そう、いうこと、になるのかな……?」
そういえば、なんでこんなに簡単に受け入れたんだろう?
お尻の穴に男の人の……しかもあんなにおっきなモノを挿入 るなんて、考えてみればとんでもないことなのに。
でも、嫌だとは……そんな思いは微塵もなかった。
裂けて血が出るのは怖いなと少しは思ったけれど、拡げられるならと思ってしまった。
どうしてだろう……。
やっぱりルーファスさんだからかな。
あんなに僕のことを思ってくれる人ならいいと思った。
今まで誰とも考えたことは一度もなかったけれど、ルーファスさんとならえっちしたいなってそう思えたんだ。
「レンさま。後孔を拡げるには、ご自分でなさるのは大変かと存じます」
抱き合ったままになっている僕たちをみながら、イシュメルさんが笑顔で教えてくれた。
「あの、じゃあどうやって……?」
「それは――」
「レンっ、私がやるから心配しないでいい」
イシュメルさんの言葉に被さるようにルーファスさんがそう言い出した。
「えっ? ルーファスさんが?」
「ああ、風呂や寝室で私の手に薬を纏わせて、後孔をゆっくりと解していくんだ。まだ一度も受け入れてない後孔は硬く窄まっているのだが、そうやって毎日柔らかく解すことで柔軟に拡がるようになるんだよ」
「それって……かなり恥ずかしくないですか?」
「ふふっ。大丈夫。私しか見ないから」
にっこりとそう微笑むけれど、いやいや、自分でも見たことないような場所を毎日毎日触れられて解されるってかなりの羞恥なんだけどな。
でもそこまでしないとえっちできないんだから仕方ないんだろうな……。
「レンさま。陛下にお願いしてもよろしゅうございますか?」
僕が頷くと、イシュメルさんは、僕を抱きしめたまま喜ぶルーファスさんを見ながら、
「何か気になることがあればいつでも主治医の私をお呼びくださいね」
とにっこり微笑んでくれた。
ああ、すごく優しい先生が主治医になってくれて本当によかった。
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