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『どちらかが十年分の記憶を忘れる薬』を飲まないと出られない部屋(6/7)
***
つぷ、とルスの先端が俺のナカへと入り込む。
俺がグズグズしてる間に、ルスのモノはもうすっかり乾いてしまった。
なのに……。
「ぅ……ぁ……」
……っ、なん、で、こんなに、イイんだよっっっ!!
俺だけこんな、ぅあ、ナカ、が……ほんとに、ルスでいっぱいに、なってく……っ。
「んっ、ぅ、あ、あぁあ……」
ルスのが、んんっ、すげぇ熱くて、硬くて、も、なんか……俺……っっっ。
「……っ」
溢れそうな感覚を必死で堰き止めていると、ルスが息を詰める気配がした。
俺はいつの間にか力一杯瞑っていた目をなんとか開く。
俺の下では、ルスが実直そうな太い眉を寄せて、どこか切なげな、何かを堪えるような表情をしていた。
こ、これって……。
俺に入れて、ルスも感じてくれてるって事だよな……?
ルスの熱い欲が俺の奥へ近づく度、ゾクゾクと背筋が震える。
俺は動きを止めて、慎重に口を開いた。
「なあ、ルス……。俺のナカって、さ……」
ルスが俺の顔を見上げて、すげぇ男前に笑う。
「ああ、最高だ……」
……っ、マジで……?
「そ、そか……、良かっ……」
喜びがどうしようもなく溢れ出して、言葉が途切れた。
「泣くな」
「なっ、泣いてねーしっ、ちょっと目にゴミが入っただけで――」
ガシッとルスが俺の腰を両手で掴む。
ルスの手はあったかいなと思った途端、グンと引き寄せられ、ルスの熱が俺の最奥を抉る。
「ぅあっ、あっ、あぁあっ!」
腹の芯からビリビリと痺れそうな程の快感が次々湧き上がる。
「ぁあっ、ぅ、あっ、っっんんんっっ」
そのままグイグイ揺すられて、俺はたまらずルスの上に手をついた。
ルスの手が、俺の腰から離れて背を撫でる。
「遠慮せず体重は俺に全部かけろ。お前くらいで俺が潰されるものか」
促されてルスの胸元に身を寄せると、ルスの匂いに柔らかく包まれる。
俺の知るルスの匂いより、もう少しだけ熟成が進んだ気がする。
そっか、十年も経ったんだもんな……。
「ん、……っ、ルス……」
求めるように見つめれば、ルスは口付けで応えてくれる。
こんな幸せな事が……ほんとにあっていいのか?
「少しは慣れたか?」
ルスは優しく微笑んで、俺の頬を撫でながら言う。
こんな笑顔のルス、俺が独り占めしていいってのか……?
ふわふわした頭のままで頷けば、ルスも頷いた。
黒い瞳がじっと俺を見つめている。
「お前の中に出してもいいか?」
だっ――!?
そ、そーだよな。そりゃ、そーなるよな?
俺の……、お、俺の中で、ルスはイケるんだ……?
俺の身体で感じて、俺の中に……ルスの、それが……。
想像しただけで、腹の奥が酷く疼いて熱を孕んだ。
「っ……」
いやおかしいだろ。
そんな事、全く覚えていないのに。
ルスの言うとおり、俺の身体はルスの事を覚えてるって事か……?
「外に出す方がいいか」
返事が返せないままの俺の様子に、ルスが判断をした。
「ちょっ、待ってくれよ、えっと、その。俺は……ルスの……」
ルスの口端が、じわりと上がる。
え、なんだその顔。ルスってそんな悪い顔もするんだ……?
「俺の、なんだ?」
「ええ、と、ルスの……その……」
「うん?」
「っ、……だ、出していーよ。俺の、中……」
ルスが小さめの瞳をすっと細めて俺を見る。
「欲しいか……?」
「べっ、別に、欲しいとは言ってな……っ、あ、あっ、ぅぁあっ」
不意に動き出したルスに下から突き上げられて、俺の言葉は声へと変わる。
「んんっ、あっ、は、激し……っ、ルス……っ」
ズンズンと突き上げるルスのが俺の奥に当たるたび、疼くような焼けるような熱さが広がる。
「うあっ、んっ、あっ、や、あっ、う、くぅっんんんっ」
熱……熱い……、あ、腹が、蕩けそう、だ……。
「あ、ぁあっ、ルス……っ、ルスっ」
何かがせり上がる感覚に、必死でルスの胸に縋り付くと、ルスはぴたりと動きを止めた。
「は……。ぁ…………、ルス……?」
上がり切った息に大きく喘ぎながら尋ねた俺の声は、まるで縋るようだった。
ルスに触れてもらえなくなった奥が寂しくて、内側がひくひくと小さく震えている。
な、なんだよ、俺の身体……。
そんなにルスが……。
「欲しいか?」
もう一度、俺に尋ねるルスの声は酷く渇いていて、ルスが俺の答えを……、いや、俺の全てを求めてるんだって、やっと分かった。
じっと俺を見つめる黒い瞳。
ああ、俺も欲しかった。欲しくて欲しくて狂いそうだった。
ずっとずっと。
ずっと前から。
ルスのその、愛に濡れる眼差しが……。
「っ、……欲しいっ。ルスが、全部、欲し――っ、あぁあああっ、んんっ、んんんうううっ!!」
俺の言葉が終わるよりも早く、ルスのモノが熱を滾らせて俺の奥を力強く叩く。
眼前に火花が散るほどの快感が次々と襲う。
俺はルスがくれる熱の渦に溺れた。
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