4 / 12

包家の食卓④

「はいはい、お待たせ~。どれも温めるだけだったから、すぐだったよ」  そう言いながら、小敏がそれぞれの食器を運んで来た。煜瑾はすぐにそれを受け取り、個々に配り始める。その様子に安心した小敏は、何も言わずにテーブルセッティングは煜瑾に任せ、急いでキッチンに料理を取りに戻る。  それと入れ違いに、文維が海老とトマトの玉子炒めと、煜瑾が期待していた紅焼肉(ホンシャオロー)を運んで来た。 「ほら、煜瑾の大好きな料理ですよ」  文維に言われて、煜瑾は瞳をキラキラさせて微笑んだ。 「はい、こちらは空心菜と黒木耳(きくらげ)の炒めものに、揚げた白身魚の甘酢あんかけだよ」 「お茶を淹れ直してきます」  文維と小敏は、入れ代わり立ち代わりキッチンからリビングへと料理を運んだ。それを受け取り、テーブルに並べるのは煜瑾の仕事で、ちょっと迷った時は恭安楽が的確にアドバイスした。 「さあ、このCMの後のコーナーよ!」  しっかりと番組をチェックをしていた包夫人の言葉に、ようやく文維と小敏も席に着いた。 《今日のゲストは、包伯言教授です。大学では歴史学科の次期主任と決まった、今、話題の歴史学者です》  CM明けに、少し大げさに思えるほどにこやかに女性司会者が紹介すると、後ろのカーテンが開き、落ち着いた様子の包伯言教授が姿を見せた。 「わ~。おとうさま、テレビだと、いつもよりお若く見えますね」  煜瑾が感心したように言うと、恭安楽も浮かれた調子で答えた。 「そうね。やっぱり教養番組と違って、メイクとかされたみたい」 「もともと叔父さまは若々しくて、イケメンだよ」  横から、自分の皿に白身魚を取りながら小敏が言うと、包夫人は自信満々に言い返した。 「もちろんよ。若い頃の伯言は、今の文維よりもイケメンだったんだから!」  そんなお母さまの意外な言葉に、煜瑾はますます目を輝かせていた。 「私、ずっと文維はおかあさま似の顔立ちだと思っていました。でも、こうして見ると、やはりおとうさまにも似ているのですね」 「だよね、だいたいの人は文維を叔母さまに似てるって思うけど、しっかり叔父さまのイケメンな部分を引き継いでるし。まさにだね」  小敏にまでからかわれ、文維は苦笑いをするしかなかった。 《包教授は、もちろん同僚の信頼があっての今回の主任就任ですが、学生からの人気も高いそうですね》 《ありがとう。授業は、同僚たちに評価されるためではなく、学生たちに正しい理解をしてもらうものだと思っています》  ゆったりとした態度で、分かりやすい口調で話す包伯言だが、その高い知性や人格の高さは充分に通じる。人間としての魅力に、誰もが好感を持つ、包教授の語り口だった。 《そんな、大学での教授の人気を支えるものが、実は奥様だとか。有名な愛妻家であると伺っています》 「やだ~。愛妻家ですって!」  自分のことを取り上げられると、包夫人は歓声を上げた。その様子を3人の息子たちは微笑ましく思い、穏やかな笑顔を浮かべた。  その時だった。

ともだちにシェアしよう!