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Dr.Hooのサイコロジカルイリュージョン②
小敏はすぐに楽しそうに答えた。
「そういうことなら、ボクは喜んで煜瓔お兄さまとご一緒させていただくよ」
煜瑾も安堵したように、無邪気に喜んだ
「ありがとう、小敏。じゃあ、このショーには、私と文維だけでなく、お父さまも、お母さまも、小敏も、煜瓔お兄さまも、みんな一緒に行けますね!」
そんな2人のやり取りに、お母さまがウキウキした様子で提案した。
「ねえ、それぞれ会場での席は離れていても、行きと帰りは一緒になるでしょう?みんなでお食事に行きましょうよ」
その楽しい提案に、小敏はすかさず言った
「じゃあ、煜瓔さんの奢りだな」
「小敏、なんてことを」
相変わらず調子のよい小敏を、息子と同じく可愛いと思いながらも、包教授は真面目な顔をして窘めた。
「そうですね!いい考えです。お兄さまに近くのレストランを予約していただきましょう。両家揃ってのお食事なんて、本当に久しぶりですね。兄も喜ぶと思います」
素直な煜瑾は、家族揃ってのイベントとなったことを、本当に嬉しそうにしていた。
やがて包伯言のインタビューが終わり、テレビの画面では例の女性司会者が、Dr.Hooこと「サイコロジカルイリュージョン」を扱うスター・マジシャンの胡双を紹介していた。俳優かモデルかのような端正で甘い顔立ち、それでいて、どこか孤高を感じさせるハンサムだ。
《まずは、Dr.Hooの、華やかなステージの一部をご覧いただきましょう!》
女性司会者の言葉と同時に、Dr.Hooこと胡双のプロフィールビデオと共に、昨年のラスベガスデビューしたショーの一部が放映された。
ショーの構成は、オープニングは、心理的な錯覚を利用した簡単なテーブルマジック。それはユーモラスで、まずは観客の気持ちをリラックスさせる。次は、胡双が得意とする催眠術で、煜瑾は大きな瞳を見開いで、興味深そうに見入っていた。
「催眠術って、本当に不思議だね~」
隣で小敏も感動したように言った。
「本当にあんなことができるのでしょうか…」
画面では、その場で選ばれた観客が催眠術をかけられ、ただのミネラルウォーターを白ワインと思いこまされて、ワインソムリエのように味わったり、評価したりしていた。
「文維も、催眠術ってできるんだっけ?」
ふと思い出したように、小敏が文維を振り返って声を掛けた。その発言に、煜瑾はギョッとする。
「そうなのですか!文維も、催眠術ができるのですか!」
驚いた煜瑾の様子に、むしろ文維の方が意外そうに見つめ返す。
「ええ、まあ、一応アメリカの大学院では臨床の一環として習得しましたが…。言っておきますが、煜瑾にそれを悪用しようとしたことはありませんからね!」
煜瑾の表情に不安を感じ取った文維は、慌てて言い添えた。
その言葉に、煜瑾は一瞬キョトンとしたものの、すぐにニッコリと微笑んだ。
「ふふふ。私に対して、文維は催眠術なんて使わなくても、いつでも意のままに操れますよ」
なんとなく意味ありげな言葉に、小敏は飲みかけのコーラを吹き出しそうになり、包夫妻は落ち着いた表情で2人のやり取りを見守っていた。
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