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第23話 壊されて、満たされて ※R-18

気づいたときには、もう服は脱がされていて、シーツに肌が触れていた。 うつ伏せのまま身じろぎもできずにいると、背中にぴたりと熱が重なる。 「そろそろ言ってくださいよ」 「……なにを……」 「“気持ちいい”とか、“欲しい”とか……そういうの、聞きたいんですよ。柏木さんの口から」 囁くような声と同時に、唇が首筋に触れる。 柔らかく吸われたら、胸の奥がくすぐられるように疼く。 「……そんなん、言うかよ……」 言葉では否定したつもりだったのに、声は思うように強くならなかった。 「素直になってくださいよ」 樹が、用意していたローションを取り出して、指がゆっくり中に入ってきた。逃げたいのに、動けない。 「んっ……あぁ……」 「ここ、気持ちいいとこですよね?」 その瞬間、下半身にビリッと電気が走るような感覚が突き抜けた。 「あぁ、んっ……!」 喉の奥から漏れた声に、自分でも驚く。 すぐ耳元で、くすっと笑う息遣いが落ちてくる。 樹の指先がもう一度ゆっくりと、同じ場所を掠める。 「っ……、そこ、は……っ」 だめだと言う前に、体がびくんと跳ねた。 否応なく、自分の弱いところばかりを責められていく。 「柏木さんってさ……こうやってされるの、ほんとは嫌いじゃないんでしょ?」 「ちが……、っああ……っ!」 否定しようとしたのに、ちょうどそのタイミングで指先がまた敏感なところを擦った。 どうしようもなく、甘い快楽の波が押し寄せてきて喘ぐ。 「……ほら。やっぱり、気持ちいいんだ」 耳元で、甘い吐息混じりに囁かれる。その声に、心臓がどくんと跳ねた。 「……っ、もう、やめ……ろっ」 「柏木さんが、こんなに感じてるのに……途中でやめられるわけないじゃないですか」 耳元で囁かれれば、ぞくりと背筋が震える。 指が抜かれ、樹の熱くて硬いものが俺の尻のあいだにそっと押し当てられた。 じらすように、わずかに擦れるだけの動きがもどかしくて腰が揺れる。 「 早く挿れてほしいんですか?」 にやけた声でそう囁いて、樹はわざとずらして体を動かした。息が詰まりそうになって、声もうまく出せない。 「……挿れますね」 「待っ……あぁっ……」 ぐぐぐ、と樹のモノが入ってきて、穴が広がってゆくのが分かる。 その後ゆっくり引き抜かれていく瞬間、腰がぶるりと震えた。 内側でヒクヒクとした感覚が広がり、熱さだけが残る……と思ったのも束の間、樹はまたゆっくりと入ってきた。 「……っ、ああ……っ」 それがどうしようもなく気持ちよくて、ぞわっと鳥肌が立った。 たまにイイ所に当たって、全身が跳ねそうになる。 「ん……っ……あぁっ……!」 背筋を駆け上がるような感覚に、思わず指先がシーツを掴む。 「……まてっ、もう、むり……っ」 「まだ奥まで届いてないですよ?」 「でも……」 「だいじょうぶ……最後まで、俺が気持ちよくしてあげますから」 低く、熱を孕んだ声がすぐ後ろから落ちてくる。 その言葉と、体温と、動き。全部が俺の中で混ざり合って―― もう、理性なんて、とうの昔に溶けてなくなってた。 「ほんっと可愛い……」 俺の手首が、ぐっと掴まれる。 逃げるように動かしていた指先が止められた、その瞬間―― 樹の動きが、急に深く、強くなった。 「っ……あ、あぁっ……!」 内側をググッと押し広げながら奥まで一気に突かれて、身体が跳ねる。 苦しいのか、気持ちいいのか、もう分からない。 「……柏木さんの中、めちゃくちゃ気持ちいいです……」 耳元に落ちてくるその声が、低く、甘く響いた。 ただの言葉なのに、どうしようもなくぞくぞくする。 「あぁ…っ、はぁ…はぁ…」 「……奥、きゅって……締めてる」 「う、るさい……っ、いちいち、言うな……っ」 声がうまく出なくて、掠れる。 こんな、支配されてるみたいな状況なのに、甘い声でそんなこと言うな――。 「だって……ほんとに、柏木さんの中……絡みつくみたいにすごくて……」 「っああっ……!」 また一段と深く押し込まれて、思わず声が漏れた。 樹のモノをぎゅうっと締め付けて、俺はただひたすら喘ぐ。 崩れる。壊れる。 けれど、それがこんなにも甘くて、溺れそうなほど心地いいなんて――知らなかった。 「ああ……っ! や、そ、こ……やめ……っ」 背中をのけ反らせたまま、声にならない叫びが喉で震える。 俺の奥底から肩までぞくぞくした快感が迫ってる。 「っ、ああっ……きもち、い……イク……!」 頭の中がぐちゃぐちゃになるくらいの絶頂に、体を大きく震わせた。 俺は精液を吐き出したあと、堪えきれずにハァハァと肩で息をしながら、ベッドに倒れこむ。 「めっちゃ可愛いですね、柏木さん……」 ……かわいいってなんだ。アホか。 そう反論してやりたいのに、口がうまく回らない。 代わりに漏れるのは、途切れた息と、甘く震えた声ばかりだった。 「……あの、柏木さん……もう一回、いいですか」 「は? ま、っ……待て、イッた、ばっか……」 震える体を起こし、脚を必死に閉じようとしたのに、それより早く、ぐっと腰を抱かれてしまう。 「だって……俺、まだなんです」 その低い声に、背筋がぞくりと震えた。 「や……っ、ムリ、やって……っ」 「――ね? もう一回だけ」 懇願に近い抗議は、あっさりと塞がれる。 抵抗する間もなく突っ込まれ、また腰を動かしてくる。 そして甘い熱の中、再び引きずり込まれていく――。 奥まで届いて、抜けて、また深く入ってきて。 そのたびに、息がうまくできなくなって……俺の喉から勝手に声が漏れる。 「柏木さん、きもちいいですか?ほら、もっと……」 腰を鷲掴みにされて、更に早く大きくなる動きに、俺は喘ぎっぱなしになる。 敏感なところを的確に責められて、腰が何度も跳ねる。 絶頂の余韻すら残るまま、また同じ波が押し寄せてきて。 「あぁっ…樹……また……」 たまらず樹に向かって手を伸ばす。 何度も何度も奥を突かれて、高みがすぐそこまでやって来た。 「いっぱいイッてください」 「――ぁ、あ……っ! いく……っ!」 甘さと快感に溺れていく自分を、止めることができなかった。 そして、それが怖いはずなのに――どこか、安心してる自分がいた。

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