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第32話 甘く触れて、深く堕として ※R-18
呼吸が触れそうな距離で、澄人くんの目をじっと見つめる。
「キスしていい?」
ぽつりとそう呟くと、澄人くんが一瞬だけ目を見開いた。指でそっと頬をなぞって、その熱を確かめる。
「……蓮、」
かすかに呼ばれた名前は、不安と期待がまざった声だった。
「……するね」
言葉が終わらないうちに、唇を重ねた。
一度だけ、って思ったのに全然足りない。もう一度、今度はゆっくりと深く、澄人くんの唇を味わうように重ねた。
「ん……」
逃げかけた肩に手を添えて、距離を詰める。
首筋に顔を寄せて静かに息を吸った。少し甘い、澄人くんの匂い。たまらず耳元に口を寄せて、低く囁く。
「……キスだけなんて、ムリ」
そのまま背中に回した手をぐっと引き寄せると、澄人くんの体が俺の胸に落ちた。
汗ばんだシャツの下、背中から腰へ、ゆっくりなぞる。
「ちょっ……」
顔を覗き込むと、澄人くんは焦ったように視線を泳がせていた。
戸惑いと、少しの警戒――けれど拒絶ではない。
「……澄人くんって、こういうの、あんまり得意じゃないとか?」
少しからかうように言ってみると、澄人くんはすぐに視線を外した。
「別に、苦手とか……そういうんじゃねえし」
照れ隠しに吐き捨てるその声も、どことなく甘くて。
「……立てる?」
優しく問いかけながら、指先で顎を軽く持ち上げて、視線をこちらに戻させる。
「ん……、」
澄人くんは少しだけ眉をひそめたものの、静かに頷いた。落ち着かせるように微笑んで、肩を支えるようにしながら立たせる。
そのまま、絡めたままの手を軽く引いて、ベッドの方へと導いた。
「……ね、優しくされたい? それとも……強引なほうが好き?」
そう訊ねると、澄人くんのまつ毛がぴくりと揺れた。
「何言ってんだよ……」
言葉の端に滲むのは、確かな動揺。
何も言わず、そっと背に手を回し、ゆるやかにベッドへと倒す。
「……ちょ、まって、優しく……」
「ふふ。最初からそう言えばいいのに」
シャツのボタンに指をかけて、ひとつずつ外していく。
開いていく隙間から澄人くんの白い肌が覗くたび、視線が離せなくなる。
頬に触れ、耳元へ唇を寄せて低く囁いた。
「優しくしてあげるよ。その代わり……俺の言うこと、聞いてくれる?」
その声に、澄人くんはわずかに視線を逸らし、「……なに……」と小さく問い返してくる。
俺はわざと間を置いて、ゆっくりと言った。
「乳首、自分で触って。両方、指で摘まんでみて」
息を呑む気配。ちらと、怯えるように俺を見上げ――
「……なんでだよ……」
そう言いながらも、拒みきれずに指先が胸元へと伸びていく。
ぎこちなく、戸惑いながらも、言われた通りに。
左右の乳首に指が触れた瞬間、その仕草に思わず喉が鳴った。
「どう? 自分で触るのって、変な気分?」
そう聞けば、澄人くんは唇を噛んで顔をそむける。
「……別に、なんも……。……わかんねぇし」
ちょっと不貞腐れたみたいな口調。
ふいにムッとした顔になったのが可笑しくて、つい口元がゆるむ。
「……教えてあげようか」
そう囁いて、澄人くんの手をそっと外す。
代わりに、俺の指先がゆっくりと胸元へと滑っていった。
「こうやって……」
柔らかく、きゅっと摘んでから、円を描くように撫でていく。
ときどき、爪をほんの少し立てて、引っかくように刺激を与えて――
様子を探るみたいに、反応をひとつひとつ確かめながら、じっくり。
「っ、あ……っ」
びくっと身体が跳ねて、腰がわずかに浮く。
必死に抑えてるのに、声が漏れてるのがもう可愛くて、俺は堪えきれずにそっと胸元へ顔を寄せた。
「っ、ちょ……や、やめっ……!」
澄人くんが焦ったように俺の肩を押し返してくる。けど、その手にはさっきの強さがない。
その反応がたまらなくて、左の乳首に舌先で触れる。
「……っ、ん……っ」
押し殺すような声とともに、また腰が浮いた。肩に回された腕が、ぎゅっと力を込める。
「ん……っ、あ、だめ……っ」
先端をちろ、と軽く弾くたびに、澄人くんの背筋がぴくりと反応する。震える声で拒んでも、身体は正直だ。
「気持ちいいの?」
わざと低く囁くと、彼は顔をそむけながら、唇をぎゅっと噛んでる。
「……ちがう……っ、」
なんて言うけど、口元を抑えながら目を逸らしてて……必死に我慢してるのがバレバレだ。
「そっか。……じゃあ、遠慮なく続けるね」
そう言って、もう一度ゆっくり舐めあげる。
端から円を描くように、丁寧に。ときどき、ちゅっと音を立てながら吸って――。
今度は喉の奥から微かに漏れる声――
「っ、……ん、ふ……」
声に出すまいと堪えてるけど、吐息が甘くて余計にそそる。
泣きそうな目で見上げてくる顔に、喉の奥が鳴る。
「こっちも……しよっか」
びく、と小さく震えた彼の身体を抱きとめながら、もう片方の乳首を甘噛みする。
「――んっ……!」
その直後、敏感になったところをぺろりと舐めると、澄人くんの目が潤んで、俺の方を見た。
「あっ……や……っ」
澄人くんの指先がまたシーツを掴んで、腰が、くい、と俺の方に近づいてきた。
その無意識の仕草が、俺の理性を静かにじわじわと溶かしていく――。
「……ほんと可愛いね」
もっと見たくなる、もっと欲しくなる。やらしく、俺を求めてほしい。
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