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第52話 危うく、熱い距離 ※R-18
昼過ぎだろうか。数時間眠ったおかげで、体は少し楽になっていた。
微熱はまだ残っているけど、頭のもやもやはずいぶん晴れた気がする。
「……よし」
自分に小さく言い聞かせ、隣で寝ている蓮をそっと見る。寝息は穏やかで、柔らかい光の中に安心感が漂っている。
……ほんま、樹に似てんな。
ベッドから体を起こすと、足元でメイがくるくる回っていた。手を伸ばして頭を撫でる。
「……可愛いな、お前」
その柔らかさに少しだけ心が落ち着いた。シャワーを浴びて戻ると、リビングでは蓮がスマホを手に座っている。会話の内容から察するに、相手は樹だろう。
「うん、友達のところに泊まってた。大丈夫、夕方には帰る。わかった」
短いやり取りを終えると、蓮はスマホを置き、メイを軽く撫でながら俺に笑いかける。その笑顔を見ると、胸の奥がざわざわと落ち着かない。
……樹も、蓮も、どっちも大事だ。
でも今日のこともあって、少し距離を置いたほうがいい――胸の中でそう決める。
「蓮、ありがとうな。もう迷惑はかけねえから」
そう言うと、蓮は首をかしげてじっと俺を見つめる。
「……澄人くん、もしかして、俺たちから離れようとしてる?」
問いかけられ、言葉に詰まる。
“そうだ”とも“違う”とも、はっきり言えない。
「……また改めて、お礼はちゃんとするからな」
言葉を濁すと、蓮は一瞬黙り、真面目な顔で口を開いた。
「お礼か……。じゃあ、お願いがあるんだけど」
控えめな声、でも目はまっすぐ俺を見ている。
「お願いって……何や」
「抱かせて」
「は?」
「だから、お礼に抱かせてよ」
……抱かせろ?
「本気で言ってんのか」
「当たり前」
蓮は穏やかな表情のまま、ゆっくり近づいてくる。肩に手を回され、軽く引き寄せられベッドに押し倒された。
「おい、待っ……!」
「大丈夫。無理はさせないから」
ふわっと体が沈み、温かさと柔らかさに包まれる。胸に押し付けられ、額が蓮の額に触れた。
「……俺から離れるとか、許さない」
耳元に唇が触れ、軽く舌先でなぞられるたび、胸の奥が熱くなる。
「……あぁっ、あ……」
声が漏れる俺を見下ろし、蓮は静かに、でも確実に体を支配していく。
「俺から離れられないようにしてあげる」
低く囁かれ、体の奥まで熱が広がる。
指先の微細な動きに合わせて、腰や下腹部が反応し、体は波打つ。
もう、完全に蓮の手の感触に支配され、逃げ場はどこにもなかった。
ビクビクと震え、声が自然と漏れる。
時折前立腺をぐっと押されると、甘い痺れが全身を駆け抜ける。
「んっ、あぁっ……!」
抑えようとしても無理だった。布団に押さえつけられ、蓮の腕で動きは封じられる。
「……可愛いな」
吐息混じりの声に耳が熱くなり、背筋がぞわっと震える。
肩に回された腕で押さえ込まれ、もがこうとしても体は動けない。
「……絶対逃がさない」
「あっ、あぁっ……!」
甘い痺れに全身が飲み込まれ、息も絶え絶え。
腰の奥で指が動くたび、体は勝手に反応してしまう。
「……っ、やめ……っ」
「ほんとにやめてほしい?」
耳元に落とされた低い囁き。指が一度抜け、またゆっくり押し込まれる。
その瞬間、全身がびくりと跳ね、息が詰まった。
中をなぞる指先が、痺れる感覚を容赦なく呼び起こす。
ぎゅっと締まる奥を押され、視界が揺れる。
必死に耐えようと歯を食いしばる。
でも体は正直で、熱に浮かされるように震えてしまう。
前を擦られるわけでもないのに、奥から甘い波がせり上がる。
「っ、あ……あぁぁっ……!」
思わず声が漏れ、布団を握る手に力がこもる。
「ほら……可愛い声出てる」
「だ、まれ……っ、くそ……っ」
腰が勝手に揺れ、逃げ場のない快感に追い詰められる。
蓮の熱と指の動きに、理性は溶けて――もうどうしようもなかった。
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