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第53話 俺だけに見せて、全部 ※R-18
side 瀬川 蓮
ベッドの上で、肌と肌が触れ合うたびに、澄人くんの小さな反応が手に伝わって嬉しくなる。
「澄人くん、ゴムある?」
その低めの声に、澄人くんは少し戸惑ったように小さく息を吐き、ベッドサイドの引き出しを指さす。
「……そこの引き出し」
「了解」
「あ、ちょっと待て……」
何か言いかけた澄人くんを制して、俺はそっと引き出しに手を伸ばす。
軽く指先で触れた引き出しが滑らかに開くと、中に思わず目を引くものがあった。
「え……これって」
いわゆる“大人の玩具”。
目の前にあるそれを手に取った瞬間、胸の奥が少しざわつくのを感じる。
「っ、それは……」
「澄人くん、こういうの、使うんだ?」
からかうように笑いかける自分に、少し動揺している自分もいる。
「いや、違う……」
彼はうつむき気味に答えるが、眉間にわずかな困惑の皺が寄る。そんな仕草さえ、どこか可愛らしく思えてしまう。
「……驚いた。今まで、物足りなかったの?」
からかうように言いながらも、少しドキドキしている自分に気づく。
「……そんなんじゃねえ。友達から偶然貰っただけやから」
「ふうん……」
怪しいなとは思うけど……まあいいか。俺はソレを持ったまま、にっこりと笑った。
「澄人くんが、これを使うところ、見てみたいな」
「は?! 何言ってんだよ……!」
軽く腰のあたりに触れながら、彼の体がびくりと反応する。
「まだ弱い設定なのに、反応いいね」
「知らねえ……」
低く吐いた声に、思わず微笑みがこぼれそうになる。でも、口元だけをゆるめて、抑える。
「じゃあ、俺が代わりにやってあげようか?」
その言葉に、澄人くんの肩が一瞬小さく揺れた。
「え……」
「俺が澄人くんの中にこれ入れて動かしたら、どうなるんだろうね」
腰に回した手を軽く撫でつつ囁くと、澄人くんはぎゅっとシーツを握りしめ、小さく首を振った。
「っ……ちょ、待っ……」
「俺にされたいか、自分でするか……どっちにする?」
澄人くんは小さく息を吐き、覚悟を決めたように玩具を受け取る。
「……自分でする」
低く呟いたその声に思わず笑いそうになる。けど笑うのは我慢して、口角を上げて言ってみせた。
「ちゃんと従ってくれるの、かわいいね」
軽くからかうと、澄人くんは睨むでもなく、ただ唇を噛みしめている。
躊躇いながら、玩具の先端をそっと自分の穴に当てた瞬間、澄人くんから漏れた吐息が妙に色っぽい。
「ん……ぁっ……」
澄人くんが玩具をそっと押し込むたび、背中がのけぞって小さな吐息が漏れる。
「澄人くん、それ、どんな感じ?」
わざと低く囁くと、肩がぴくりと動いた。
「……どんな、って……やば、い……」
答えは正直すぎるくらい正直で、俺は口角を上げた。
「ねぇ、もっと奥まで入れてみてよ。ほら……そこ、気持ちいいんだよね?」
困ったように眉を寄せながらも、澄人くんの手は俺の言葉に従い、玩具を奥へ押し込む。
「っ……! あっ……奥、あたって……んっ、……あっ」
男の声とは思えないほど甘くかすれた吐息。心臓がきゅっと締め付けられるようだ。
「……澄人くん、スイッチも入れようよ」
素直にスイッチを押すと、体が小さく震え、吐息はさらに熱を帯びる。
「あんっ、……あ、あっ……」
声にならない甘さが部屋に漂う。手元の震える玩具をゆっくり抜き差しするたび、肩や腰が微かに跳ねる。
「ん……あっ!! ひ、あっ、あ……」
言葉は少なく、吐息だけが熱を帯びていく。目の前で蕩ける姿に、理性が少しずつ揺らぐのを感じる。
「……っ、蓮……見んなって……」
「恥ずかしいの?」
「……はずかしいに決まってるやろ……」
睨むような目で見返されても、全然怖くない。
「でも、もっと見たい」
声が掠れるのは、俺の方かもしれない。こんな澄人くん、他の誰にも見せたくない。
スイッチの振動が奥の一点を断続的に叩き、脚が無意識に閉じそうになってる。
「……も、っ……変になるって……っ」
「澄人くん、玩具にそんなに感じちゃってるんだ?」
耳元でそっと囁くと、びくりと肩が跳ね、潤んだ視線で俺を見上げる。
「かわいいな」
「……っ、うるさ……い……やだっ、て、ああ……」
言葉と裏腹に、手も止まらず、身体も素直に反応する。
俺の手や口ではなく、“それ”に反応する澄人くん。
膝をベッドに上げてそばに寄り、視線を合わせる。
「俺のこと、忘れてる? 今ここに俺がいるのに」
目を見開いて顔を背けようとする澄人くん。でも逃がすわけにはいかない。
「蓮が“やれ”って言ったんやろ……」
「うん……言った。可愛いけど、だめ。俺以外でそんなふうに気持ちよくなってるの、やっぱり見たくない」
胸の奥で熱がじんわり広がるのを感じながら、そっと澄人くんの頭を撫でた。
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