25 / 86
いばらの虜囚 25
「真田、一人で飲み切るのは駄目だろう?」
「ぇ あ、はい、 じゃあ、次……」
名残惜しさを隠しもせず、真田は最後にぢゅっと強く吸い付いてからセキの前を譲る。
「ぅ……」
次の男は前歯の幾つかがなかった。
その歯の間に乳首を差し込み、よりぷっくりと膨れさせてから先端を弄るのが好きだったようで、一心不乱に先端を虐め抜きながらもう片方の乳首は、こうすれば出が良くなるからと言い訳しながら指先で転がし続けた。
「ははは、セキもお前らに乳をやれて嬉しそうだ。ほら、ちゃんと全員に乳を含ませろ」
ガクガクと堪えきれない震えを見せながら、青い顔でセキはその隣の若衆の前に進む。
明らかに触れただけで痛いとわかる乳首を盛り上げるようにして支え、「どうぞ」と蚊の鳴くような声を出した。
「……ぉ、おれ はっ ……すみませんっ! おれにはできないですっオンナがいるんで裏切るようなことしたくなくてっだからっ……だからすみませんっ」
大きな声ではっきり言うと、その若衆はさっと後ろに飛び退いて勢いよく床に頭を打ちつける。
「すみませんっ! せっかくのご厚意なのにっ」
「おれもです! 結婚しようって言ってる奴がいるんで勘弁してくださいっすみません!」
もう一人、その若衆の隣に飛び出すと同じように頭を下げた。
土下座をする二人を見てその後にもう一人飛び出し、三人が並ぶのを見てしんと部屋が静まり返る。
大神と同じ悟の硬質な瞳がその三人を眺めてから、微かに細まった。
「もういないか?」
「はい?」
「もう辞退する奴はいないな?」
小さな針が落ちるような音も聞こえてきそうな緊張した沈黙がすぎ、悟は障子の向かいに声をかけた。
「慧」
ずっとそこにいたのか、呼ばれてすぐに障子を開けた大神が入り口で膝をつきながら「はい」と従順に返事をする。
その目は土下座している三人を見てから気まずそうに座って俯いた若衆を見、それから悟へと動く。
「その三人は破門だ。追い出せ」
「ちょ ちょっと待ってくださいっ! こんなことで 」
「こんな簡単なことも従えんのなら当然だろう?」
顔色を変えた若衆が悟から視線を逸らし、大神の方へと顔を向けた。
「大神さんっ! お願いします! こんないきなり……」
「荷物を纏めろ」
「っ⁉︎」
大神の答えにはっと狼狽え、セキへと慌てて向き直る。
そこにいるのは傷だらけでさらに辱められようとしている一人のΩだ。
いつも大神の側にいてくすぐったそうな笑顔を見せて幸せそうにしている。大神だって側ではしゃぐ小さなΩを、他を見る目とは違う視線で見ていたのに……と、若衆は歯を食いしばる。
ともだちにシェアしよう!

