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落ち穂拾い的な 大神の言葉 22
「じゃあ、ヒートが来るまでここでこうやってろって?」
「誰もそんなこと言ってないだろ!」
「何かいい案があるの?」
「…………」
その威勢とは裏腹に、カイは唇をまっすぐに引き結んで黙りこくってしまう。
「オレが王さまにヤられてる間、応援でもしてくれるの?」
不貞腐れた感情から出た言葉に、カイは盛大に顔をしかめて頭を抱えた。
「そんなことしないし、言うな! 俺たちはお前の味方なんだからな!」
「味方なら っ」
言い返そうとして、結局は堂々巡りになることに気づいたセキは口をつぐんだ。
自分の力でここから出ていけない以上、世話係にと一緒に閉じ込められたカイもそうなのだ と、セキは心地よい弾力のベッドの上で駄々っ子のように体を跳ねさせる。
「セキ、信じないかもだけど、俺たち……俺とシモンとクイスマは、陛下がお前を番にしようとするなら全力で阻止するつもりだ」
「…………」
「信じなくていい。お前が拒否する限り、俺たちはお前の味方だし、陛下の番にもさせない」
そう言うとカイは炎のような赤い髪を揺らしながらベッドに寝転んだセキの上へと乗り上げてくる。
青空と赤い髪の対比は戦いのように見えて、セキは目を瞬かせた。
「この国で、無理やり番にさせられる苦痛も屈辱も地獄も、全部知っているのは俺たちだからだ」
宝石に飾り立てられて、傷ひとつないカイの体に視線を滑らせると、耳の下に小さな楕円の並びが見つかる。
隠すこともなく、だからと言って誇ることもされないまま金色の鎖に埋もれるそうにして存在するそれは番を結んだ証だ。
「いざとなったら、俺たち……前王の番が全力でお前を守る。シモンもクイスマも同じ考えだ」
「…………あんたは、王国の人間なのに?」
アルノルトの前の王が誰だか知らないし、その王がどうなったのかはわからなかったが、普段の三人の立ち居振る舞いでこれだけははっきりとわかっていた。
三人は、王族のために動いている と。
「あんたを陛下の番にすると、ハジメはきっと許さないだろう。そうなったら我が国の国王夫婦は離婚危機だ。それを防ぐことは結果的に国の……王のためになる」
「まぁ、にいちゃんは絶対に許さないだろうね」
大神からの保護として王宮に住まわせることには賛成するだろう。けれど、もう一人の王の番として受け入れられるかは別の話だ。
唯一と言って迎え入れた言葉を反故にされて黙っているほどハジメはおとなしくない。
「それに、いざとなればアレを使ってでも阻止するさ」
「アレ?」
言葉を繰り返してきょとんとしているセキを見つめ、カイはほっとした様子でゴロリと隣に転がる。
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