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落ち穂拾い的な 大神の言葉 23

「そう、アーレ」  カイはポイポイと身体中を飾りつけていた飾りを床に放り出すと、うーんと体を伸ばしてくつろぎ出す。 「ちょ……そのなんとかで抜け出すんじゃないの⁉︎」 「誰も抜け出すなんて言ってないって」  そう言うとカイは寝心地を整えるように枕を抱え込む。  露出の高い服が乱れて白い肌をあらわにするが、長い赤い髪が扇状的に覆い隠す。 「  っ、なぁ、オレには死活問題なんだって! このままだと舌噛んで死ななくちゃならなくなる!」 「……そんなに、あの男がいいのか?」 「え……もちろん! あっ駄目だからな! 大神さんはオレの! オレだけの改造チン○ンなんだからな!」  「かいぞ  」と口の中で呟き、カイは興味なさげにゴロゴロと転がる。  二人で転がっても余りあるキングサイズ以上のベッドはどこまでも転がれそうなほど自由だ。 「まぁー……どんだけ言っても、ヒートになったら舌噛むどころじゃなくなるだろうけどな」 「なに。不吉なこと言わないでよ」 「どんなに言ったって、ヒートの時のオメガはバカになって、アルファに跨るしか考えられなくなるからな」  ぐっと言葉を詰まらせたセキは言い返そうとして口を開き、弱々しく肩を落としてからベッドへと沈み込む。  大神と直江が引くほどの性欲で襲いかかる自分のことを覚えていないわけではなかったため、セキは気まずい思いで首を振ることもできないままじっと固まっていた。 「シモンだってそうだった」 「?」 「あいつには婚約者がいたそうだ」 「……」 「俺だってそうだ。いつか一緒になるんだろうなって奴がいた」  いつも強い光を放つ瞳が青空を映しているからか、弱々しく見える。 「あいつに噛まれるくらいなら、死んでやるって思ってた」  そう言って、死んでいないのだから結果は聞くまでもない。  セキはカイの首元に目を遣り、もう一生消えることのない傷跡を見た。 「まぁ、おかげでクイスマやシモンに会えたからいいんだけどさ。ここにはさ、もっとたくさんの王の番がいたんだ。もう……俺たちだけしかいないけどな」  語り始めたカイがどこか心細そうに見えて、セキは手を伸ばして枕に埋もれたカイの指先を見つけてギュッと握り込んだ。 「アルノリト陛下の代になって、俺たち以外はみんな城から出ていったんだ。Mia sola deziroで」 「み、 ?」 「……あー……お願い? お願いを聞いてもらえるんだ。王族に仕える奴は、一個だけ」  これだけ豪華絢爛な城に住んでいて願いを聞くのが一つだけなんて、ケチだな とセキは頬を膨らませる。  

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