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落ち穂拾い的な 大神の言葉 30
「だからいるんだろ! ほら、掴まれ」
カイが差し出した手を払いのけ、セキはもそもそと籠るようにベッドの中へと逃げていく。
「おい!」
「オレの、アナは、大神さんの……だもん」
「突っ込んだりしないから、イジるのだけ手伝ってやる。それくらいならいいだろ?」
時折、不意に体を跳ねさせるセキの足の間からは、まるで粗相をしたかのようにしっとりと濡れて室内灯を映していた。
汗とは違う、その溢れる液は少しとろりとしていて、フェロモンを感じないカイが見ても扇情的だ。
カイはシーツからのはみ出したセキの足首を掴むと、自分の方に引き寄せて抵抗される前にサッと指を滑らせた。
Ωらしいキメの細かい肌が溢れ出した愛液で滑り、カイの手を迎え入れているかのようだ。
「や やっカイ、ギュッて、 ギュッてしてくれてるだけでいい! おねが 」
力無い足が必死に動いてカイの手を振り払おうとする。
それを押し切ってセキの体に触れることは、カイには簡単だったけれど……
がち と爪が硬いものに当たる音でカイはハッと目を開けた。
疲れのせいで意識しないうちに寝入ってしまっていたらしいと、慌てて飛び起きる。広いとはいえ、一瞬で見渡せるベッドの上にセキはおらず、カイは血の気が引いていくのを感じながら飛び降り、「セキ!」と鋭く声を上げる。
返事はない……代わりに、カシ カシ と微かな音が返事のように響いた。
カイはサッとその音のした方へと駆けていき……
「セキ!」
真っ赤な顔で部屋をぐるりと取り囲む銀色の柵を引っ掻いているセキを見つける。
もう自分が裸になってしまっていることや、溢れ出した愛液で床を汚してしまっているとか……理性があれば気にしただろうことを、すべて無視している姿はもうすでに理性や思考を放棄しているように見えた。
カイはかけ寄り……伸ばそうとした手を怯ませる。
柵を伝って落ちていく赤い液体はまだ固まっていないからか、セキが手を動かすたびに拭き取られ、そして新たな血が塗りつけられる……を繰り返す。
指先の傷、そして剥がれた爪すら気になっていないのか、銀の柵を懸命にひっかき、そこから抜け出そうとしている姿は……
「 っ、全然っ大丈夫じゃないじゃないか!」
大丈夫と言い、自分の身よりもカイのことを慮ったセキはそこにはいなかった。
「あ、る ふぁー……ある ふぁ……」
譫言のように繰り返されるそれは呪いのようだった。
かつての自分もこんな様子だったのかと思い、カイは血の気の引いた指先をきつく握り込んで何も言えなかった。
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