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君に捧げる千の花束 27
ここでも犯罪歴が足を引っ張り……随分ときつい口調で問い詰められた。
最終的に、これからボールを買いに行って、縄で括ってバットで打つんだって説明で押し通したけれど……
あの人の話を一切聞いて……いや、聞いていても聞く気のない態度を思い出すと、喜蝶は胸の中にモヤモヤとしたものを抱えるようになってしまう。
それ以来、ネットの知恵でギターケースがいいと知り、これを愛用している。
「血のついたバッドなんて、誰がどう見えてもやばいし。そんなんなったら、……捕まるんだろうな」
本当は、薫を襲った奴らを見つけたら全員殺しておしまいにしてやろうと思っていた。
でも首を噛まれたΩは、番のαが死んでしまうと後を追うように亡くなってしまうという話を聞き、予定を変更した。
手足を叩き折って使い物にならなくして、その上で飼い殺しだ。
薬で常に発情させて、フェロモンを採取するための家畜にすればいい。
……………………そうすれば、薫は、幸せになれるから。
「だから、なんとしても、犯人を……見つける」
あの日、薫の体から臭ってきたのは二人のβ、それからやけに刺々しく感じる……いや、怖気を感じさせるαのフェロモンだ。
あれを思い出すたびに、喜蝶は自分でもこれだけ戸惑うのだから、薫はずいぶんと恐ろしい目を見ただろうと感じた。
レイプのみならず、あいつらはフェロモンを使って薫を動けなくして好き勝手なことをした。
「――――――っ」
ギターバックを持つ手がギリギリと音を立てる。
自分にできることは少ないのかもしれない、だからこそ全身全霊をもって薫を救うためにできることはなんだってやる! と、喜蝶はそれを胸のうちで繰り返しながら、後藤がバイト先から帰る時に使う道の暗がりを探して歩く。
できるだけ人目がなく、暗くなるといい。
伝手で知り合った奴に頼めばこの辺りの監視カメラや電気を少しの間だけ壊してくれたりもしたけれど、いかんせん毎回要求される金額が大きくて……
今の喜蝶では、飛びつくように何度も何度も頼むことはできなかった。
危険だけれど、念の為に買っておいた目出し帽もある。
これで殴り倒し、尋問する計画にはぴったりの帽子だった。
バイトと……コンビニと……
気分的にはフラフラと人気のない公園にでも行ってくれないだろうかと願いながら、喜蝶はアルバイトをする後藤を眺め続けた。
接客をしている姿も、レジ打ちをしている姿も、同じバイト仲間と笑い合っている姿も、全部全部普通の姿だった。
「…………」
もしかしたら、自分や薫がその位置にいたかもしれない場所だと思うと、胸に鈍い痛みを覚える。
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