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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 2

「マジ?」 「これみよがしにネックガードなんて巻いちゃってさ。あんなふっとい首、誰が噛めるってんだ。第一届かねぇだろ? 脚立でも持ってくるか?」 「だな。でも、親がすげぇ金持ちらしいぞ? どうだ? 逆玉の輿とか」 「冗談! あんなむさ苦しいの、金塊積まれてもごめんだな! あんなのにどうやって勃たせるんだよ! はは」  薄っぺらな嘲笑。  なるほど、と思って「ふーん」と言葉が漏れる。確かに、自分の好みも背が小さくて胸の大きな草食系のΩだ。できれば華奢な方がいいし、髪は長くてふわふわとしていればなお良しだと思う。  だから、オレと同じくらいガタイのいいΩが対象になるかどうかで言うなら……答えはあっさり出てしまった。 「  ……っ」  下品に笑い合っている二人を「馬鹿らし」って思いながら通り過ぎて角を曲がった瞬間、息を呑む気配が上から降ってくる。 「あ……」  震えた唇から漏れるのは同じく震える声だ。  少し肉厚な唇を見上げて……オレは、こいつを……智を過小評価していたことに気がついた。  オレよりもかなり、大きい。 「  すみません。邪魔ですよね」  薄い水の膜を張った目を逸らし、智は壁に溶け込みたがっているかのように背を向けて大きな背中をギュッと縮こめる。  背後ではあの二人の声高に人を嘲笑う声がまだ聞こえ続けて、それがその背中をチクチクと攻撃しているように見えた。 「…………」  自分よりも大きい、自分よりも逞しい、……けれどどうしてかその背中は小さくか弱く、守るべきものだとわかった。  大きく上がる笑い声から身を守るように丸められた背中に近寄り、少しだけ背を伸ばす。  黒く無骨なネックガードに熱を孕んだ唇を寄せた。 「オレなら、余裕で届くけど?」  息を飲みながら飛び上がるように振り返った智の瞳を、オレはきっと一生忘れないと思う。  これがオレと智の出会いの始まりだった。    春の風に待つ落ち着かない様子を見せる街の雑踏。  待ち合わせの駅前の大型ビジョン前で、人混みから頭一つ、いや二つ分は飛び出している圧倒的な体躯を見つける。    2メートルはないと本人は言い張っているので、そこまではないんだろう。  「198センチだもん」と言い張る智の言葉を信じるならあと2センチの余裕はあるんだろう……が、188センチのオレがこれだけ見上げている時点で、その2センチに何の意味があるのかは謎だ。 「ぜったい2メートルあるだろ」  もう認めてしまってもいいだろうに……そこは踏ん張りたいのか、智は通行人の邪魔にならないように柱の影で可能な限り小さく身を縮めていた。 「智!」 「あ、龍成さん!」  オレに気づいた智が慌てて駆け寄ってくる……が、その歩き方はひどく不自然だった。

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