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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 4
これはαとしての本能だと思う。
ふるふると瞳を揺らしながらオレを見下ろすこのΩを、懐に入れて守ってこれ以上ないくらい甘やかして独占したい。隙間もないほど覆い尽くして、大事にしまっておきたい。
閉じ込めて、幸せな笑顔で、オレだけを見てて欲しい。
じわじわと湧き上がるこの感情は、抑えようと思っても抑えられるものじゃなかった。
「龍成さん、おかえりなさい」
マンションの鍵を渡して、好きな時にきたらいいよ と言ってから三ヶ月。ようやくオレがいなくても家に入ってくれるようになった恋人は、なぜか頭にペットボトルを押し付けている。
「……あの、今日もちょっと、天井に頭をぶつけちゃいました」
オレの視線に気付いたのか、智が申し訳なさそうに頭をさすった。
このマンション、一応は体格のいいα向けに天井も高く作られているはずなんだが、智が立つと急にドールハウスみたいな圧迫感が生まれてしまっていた。
「冷凍庫に保冷剤があっただろ?」
「で、でも、よそのお宅の冷蔵庫を勝手に開けるのは……」
家庭の躾なんだろう。オレが幾ら自由に使っていいと言っても、智は遠慮するのがもどかしい。
オレとしては……自分の家のように寛いで欲しいし、着替えなんかも置いていってくれていいのにって思う。
「ほら、冷やしてやるから」
急いで保冷剤を取り出してソファーをポンポンと叩くと、智は顔をパァッと輝かせていそいそと隣に座って頭を下げる。
二人でソファーに座ると、圧倒的に智の方が座高が高いからこうしてもらうしかない。「龍成さんって足が長いから、座高が低いんですね」なんてフォローを入れてくれるけど……
「もたれていいよ」
サッと抱いた肩は、見事なまでに発達した僧帽筋と三角筋のおかげで隆々としているから、こちらに体重をかけるとずしりとした圧がかかる。
「……痛むか?」
「いえ、龍成さんが冷やしてくれてるから、全然。とても幸せです」
綺麗な切れ長の目を細め、オレを瞳に映しながら照れくさそうに笑う智は……超絶ウルトラスーパー可愛いっ!
整った眉、高い鼻梁に官能的な少し厚めの唇。よく見ればそこらのモデルよりずっと男前なのに、オレに触れられている間だけは、大型犬が喉を鳴らしているような無防備な顔になる。
そこには、あの日の居酒屋で見たような影はなかった。
「こんなので幸せかよ?」
「はい! 嬉しいですっ」
オレは保冷剤を置いて、そのまま智の太い首筋に腕を回してぎゅっと抱きしめた。
黒いネックガードはシンプルで無骨だったが、金具の部分を見てみると有名なハイブランドの模様が目立たないように刻まれていて、実はこれが高級品なんだって教えてくれる。
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