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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 8
「あの合コンの夜、僕を救ってくれたのは誰ですか? 誰もが見て見ぬふりをした僕の痛みに気づいて、『余裕で噛める』って言ってくれたのは他の誰でもない、龍成さんです」
智がオレの顔を覗き込む。
その瞳には憐れみなど微塵もない、あるのは揺るぎない敬愛と信頼だけだ。
「街中で笑われている僕に、『オレは恥ずかしいなんて思わない』『誰にも指一本触れさせねぇし、一言も文句は言わせない』って言ってもらえて嬉しかった。しかも口先だけじゃない、ちゃんと意地悪言う人たちを追い払ってくれて……僕にとって、あなたは世界で一番最強のアルファです。面接官が何と言おうと、僕を救ったその強さは本物なんです。……だから、自分を信じてください。龍成さんは僕の自慢の……番なんですから 」
――心臓が、跳ねた。
智の言葉が、冷え切っていたオレの芯に、もう一度火を灯す。
そうだ。オレが強くなければならなかったのは、他人に誇示するためじゃない。このオレを信じて待ってくれている唯一無二のΩを、一生守り抜くためだったはずだ。
「……ああ。そうだな。……悪かった、智。もう大丈夫だ」
「 っ、よかった! あ……番なんて、勝手に言っちゃってごめんなさい」
智は慌てたように付け加え、恥ずかしそうにいつものように体を小さく縮めていく。
さっきまではキラキラと目を輝かせてオレのことを語っていたのに、今は泣き出しそうな顔をして耳まで真っ赤だ。
熱くなってしまっている頬を両手で挟んで……ぎゅっと力を込める。
「ひゅ、ひゅーへーしゃん?」
戸惑う智の唇は、オレが左右から潰したせいであひる口をぷっくり腫れさせたようになっている。可愛いそこに、ちょんと口づけた。
「ひゃっ!」
その瞬間、思っていた以上に強い抵抗にあって、オレはあっさりとソファーの下へと投げ落とされてしまう。
ぐるぐると回る視界の中で、手加減を忘れたことに真っ青になっている智の顔がちょっとだけ見えて、可愛いなって思った。
「ご、ご、ごめんなさいっ! 龍成さん! ケガは⁉︎」
「こんくらいでケガするかよ」
嘘。
背中めっちゃ痛いからぶつけてる。
「す、す、す、すみませんっ……その。 」
「キスは結婚前提の奴とだけしていい、だろ?」
「……っ!」
「セックスは結婚してから、だったよな?」
聞いた当初は、どれだけ過保護に育ててんだ⁉︎ って思ったんだけど、この言いつけを言い出したのがαの父親だって言うなら気持ちはわかる。
こんな子羊みたいな純粋で可愛らしい子を、何の制約もないままにしておくなんて無理だ。
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