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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 20

 性格を考えても、智の部屋にそれがないのは腑に落ちない。  智は、散歩中に摘んだ花一輪でも思い出だからと押し花にするやつだ。  初デートの思い出にもなっているそれらをどこかに放り出してしまうなんて、絶対にしない! 「智」  短く硬い声で名前を呼んでじっと見上げる。  怒りよりも、この後に及んでこいつはまだ……オレを信じ切ってくれないんだっていう寂しさの方が先に立った。 「ぁ の……」 「オレは、智と出会ってから今まで、ずっとずっと智が好きだ」 「んっ」  智の大きな喉仏が、ひく と上下した。  逃げ場をなくすようにオレは智が背負っている扉に片手をついて、その顔を覗き込む。 「智がデカいことも、力が強いことも、そんなところを気にして背中を丸めてしまうところも全部ひっくるめて好きなんだ。オレがこれから先も手を取るのは絶対に智だし、智しかいないって断言する! ……なのに、お前はまだオレを信じてくれないのか? オレが、お前に関することを笑うような奴だと思ってんのか?」 「ちが、違います……っ! 龍成さんは、そんな人じゃないってわかってます。でも、でも……」  智の声が震えている。  顔を覆おうとする大きな手を、オレは強引に掴んで下ろさせた。   「でも、なんだよ。……怖いのか? オレに幻滅されるのが」 「…………っ、はい」    智の瞳に、堪えきれなかった涙が溜まって、ぽろりとこぼれ落ちた。  198センチの巨体が、折れそうなほど弱々しく丸くなる。 「僕 の……部屋、いつも友達に笑われて……だから  龍成さんには、……龍成さんだけには変な目で見られたくなくて……」    その言葉に、オレは腹の底から言葉にできないほどの愛おしさが駆け上がってくるのを感じた。  笑われるからとか、揶揄われるからとかの自己保身じゃなく、智はオレの反応を考えてがんじがらめになって、お姉さんのことも部屋のこともうまく立ち回れなかったんだと理解して……それがじわじわとオレの体温を上げていく。  ああ、可愛い。  そんなの、オレしか見えてないってことじゃないか。  真っ赤になって涙目でオレを見る智は、手の中に包んで誰の目にも触れないようにしたいくらい可愛い。   「……いいから、行こう」 「え……っ」 「智の本当の部屋だよ。……そこで隠したかったものを全部オレに見せろ。オレが『気持ち悪い』なんて一言でも言ったら、今すぐこの家から叩き出していいから。ガードマンくらいいるんだろ?」  はは と冗談のつもりで付け足した言葉に、智は「はい」と素直に頷く。  まじでガードマンいるの⁉︎ と声をあげそうになったけれど、言い出したのはオレだし、この規模の家なんだからあることなのかもしれない。知らんけど。

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