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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 23
通報だとかそんなのをすべてすっとばして、オレは海に沈められるか山に埋められるかするらしい。
「ヒェェ……」
屈強な男たちが取り囲むとまるで穴の中に落とされたようで、ここからの脱出は不可能に思わせる。
「ちょ パパ! やめて! 龍成さんなのっ今日紹介するって言ってた……「知らん」
智の言葉を途中で遮る低い声は地獄の地響きのようだ。
色々なものを縮み上がらせながら、それでも黒服を押し除けて智の声がする方へと飛び出す。
「お、お父さんっ! 智くんとお付き合いをさせていただいておりま 「うるさい」
やはりピシャリとオレの言葉も遮られる。
智の父親のそれは声というより、それはもはや物理的な衝撃波だった。
肺の中の空気が全部押し出されるようなαの圧に、周囲を取り囲む黒服たちも無言だったが明らかに恐怖を抱いている様子だ。
チリチリと首の後ろが焼けるような危機感、オレのαとしての防衛本能が「逃げろ、死ぬぞ」と脳内で警報を鳴らし続けている。
「……パパ、やめてってば! 龍成さんは僕を番にしてくれる人なんだから!」
「許可した覚えはないし、番なんてまだ早い」
オレに向けるよりも幾分柔らかな声で答える智の父親はこちらに背を向けていて、オレを見る価値すらないと言っているようだ。
身長は智と同じくらい高いけれど、肩幅も腕も足もすべてが肉厚でまるで戦車のように屈強な雰囲気だった。
「早くない!」
智が黒服を力ずくで押し除け、隙間に挟まれていたオレを引っ張り出してくれる。
そこでやっと、智の父親はオレの方へと視線をやった。
硬質で、人を何人か殺したと言われても納得しそうなナイフを思わせる目元、頑固そうに引結ばれた唇。智と似た部分を探そうとしたけれど、背丈以外の似ているところを見つけることはできなかった……が。
「…………あ、れ?」
睨みつけられて、指さそうとした人差し指を思わず曲げてしまう。
智と同じくらいの身長、凶器のような筋肉を身につけた肉体、鋭い眼光に、理由もわからずにオレを睨みつけてくる視線。
「あ、あ、あ! イーノフーズの面接官!」
こんな威圧的な人間、一目見たら忘れることなんてできないだろう。
あの時、途中で不機嫌そうに立ち上がって出て行ってしまった面接官だ と、記憶がカチリと噛み合って、オレはスッキリした気分になった。
「めんせ……パパ⁉︎ 何やったの⁉︎ 面接官って……飯野おじさんの会社で⁉︎」
「…………」
こちらへは容赦のない視線を向けるのに、智が声を上げた瞬間だけ目の光を和らげる姿を見て、オレはポカンと口を開けるしかできなかった。
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